最終更新:2020 年 5 月(読み終わるまでの時間:10 分)

効果的な資金調達を行うための 6 つのヒント

このページで学ぶ内容:Unity の Kahn Jekarl が提供するヒント。Unity に入社する前、Kahn はカリフォルニア州北部に拠点を置くカジュアルモバイルゲーミング会社である Flow State Media の共同創業者兼 CEO でした。Flow State での 5 年間で、複数ラウンドの資金調達にわたって、近しい幼なじみからグローバルベンチャーキャピタル企業に至るまで、100 万ドル以上を調達しました。この記事では、スマートかつ効率的な方法で資金を調達するための 6 のヒントを紹介し、実際の製品の開発にできるだけ多くの時間を充てることができるよう支援します。

まずは製品を作る

まずは製品を作る

ほとんどの人は資金調達ラウンドで話をまとめ、クローズするのに要する時間や労力を甘く見過ぎています(はじめにあなたが作った見積もりを 3 倍にしてみましょう!)。潜在的な投資者について話をはじめる前に、何よりもまず、製品の開発を進めておきましょう。資金調達について話を始めると、終わりが見えなくなるからです。理想的には、まずは製品の開発に取り組み、ユーザーのフィードバックに基づいて繰り返し改善をおこなって、その上で次の目標に向けて取り組むようにしてください。

 

ベータテスター

トラクションが大事

ほとんどの場合、投資者よりも話をもちかける側がその分野(ジャンル)について知識を持っています。表明した理念やその製品やサービスでできることなど、すべては理解してもらえない可能性はありますが、トラクションは理解してもらえます。これが投資者の興味を引きます。可能であれば自費で製品を形にし、ある程度のベータテストを実施して、最低でもユーザー数、月間のユーザー増加数、合計収益、月間の増収額、ユーザーごとの平均収益、リテンションなどの指標を用意しておくことをお勧めします。

肯定的な指標を示しつつソフトローンチされた製品は、まだ形になっていない製品よりも資金調達を得られる見込みが高くなります。もちろん、分野に固有の指標はありますが、ストーリーが重要な指標の伸びに関する内容であればあるほど、資金をより簡単に調達できます。

 

ピッチの練習をする

正直、投資者にピッチできるとは思っていませんでした。人前で話をするのは苦手でしたので。高校在学中に卒業生代表としてスピーチをする機会がありましたが、人がいっぱいいる部屋で先生や職員の前で大失敗しました。しかし、投資を募るには誰かが会社を代表する必要があります。当社の場合、それは私の役目でした。

初めてのピッチは、投資者が必要としていた以上に詳細になり過ぎたり、求められている情報について言及しなかったりと、それはひどいものでした。しかし、ピッチはやればやるほど上手になります。反論にも慣れ、うまく準備して回答できるようになります。また、自分が話しているところを録画してみてください。自分で自分を見ることは嫌な作業ですが、最も勉強になる方法の 1 つです。

そのため、ピッチの練習をすることを強くお勧めします。出だしはどのような感じですか?どのタイミングでデモに移行しますか?練習を繰り返すことで、すぐにマスターできます。

 

投資者を分類する

投資者を分類する

事実として、投資者との関係性が近いほど、資金の調達は容易であるため、まずはそこから始めましょう。また、資金調達に勢いがあるほど、より調達が簡単になります。具体的には、まず投資者側に立って考えてみましょう。「会社を興すことを考えているのですが、まだ誰からも投資の確約をもらっていません。投資しませんか?」と言われるのと、「会社を興すことを考えています。すでに何人かの投資者から 50 万ドルを集めています。投資しませんか?」と言われるのでは、後者のほうが明らかにアピール力があります。容易に得られる確約はできるだけ早い段階で得たいので、あまり会ったことのない投資者に会うときは、すでに別の投資者より確約を得ていることを伝えるのが有効です。最も容易に資金を調達できる投資者から最も困難な投資者まで、以下のように分類しています。

  • 友人や家族
  • クラスメイトや同僚
  • アクセラレーター
  • エンジェル投資家
  • ゲームパブリッシャー(ビジネスの分野がゲームの場合)
  • エンジェル投資家グループ
  • ベンチャーキャピタル企業

まずはリストの一番上に分類されている人たちの力を借りて基盤を築き、勢いを付けてから次の層に移行します。リストの一番下にまでは到達しなくてもよいことがあります。すばらしいことです!

 

候補投資家

投資者心理を突く

あちこち駆け回って徐々に投資の確約を増やせば、その後はターゲットにアプローチするのがますます簡単になります。確約されている投資の金額が増えるほど、投資をしているのが自分だけではないという「安心感」を投資者に与えます。ラウンドをクローズするにあたって、これは大きく有利に働きます。目標金額に到達していない場合でも、金額が近くなった段階で、資金調達を停止する必要があります。

クローズする日付を設定し、まだ態度を決めかねている全員にその日までに確定するよう伝えます。他に興味を持っている人はいないか確認します。投資者は共同で投資することを好む場合があるため、確認することは理に適っています。締め切りを固定することで、行動を起こすよう促します。必要なことはそれだけです。もちろん、見送る人もいますが、迷っている人に投資を決断させる効果もあります。

締め切りを伝える一方で、ほかに誰が投資しているのかを伝えるようにします。バスケットボールシューズを販売する会社をやっている場合、マイケル・ジョーダンが投資していると伝えれば興味を持つ人もいるでしょう。著名な投資者について言及することは他の投資者の判断に大きく影響を及ぼすため、できれば言及してください。すでに投資の確約を得られている人によいニュースとして伝えることもお勧めです。投資額を増やしてもらえる可能性があります。

最後のポイントとして、起業家にとって「応募超過」は魔法の言葉です。見込み投資者にそのラウンドの応募が超過する見込みであることを伝えると、より興味を引くことができます。つまり、これは資金調達に成功し、目標を超えた金額を集め、他の投資者の確約を得ていることを示す強力なシグナルです。その段階に到達したら、皆さんに伝えてください。

 

長引かせない

投資ラウンドの最後までたどり着くことができたなら、まずは自分で自分を祝福しましょう。当然、達成感があることと思われます。クローズまで経験する回数が増えれば増えるほど、より多くの投資を確保することがより容易になることに気付くでしょう。ただし、「クローズする」という感覚に囚われ過ぎないようにしてください。第一に、なぜ資金調達を始めたのかを考えてみてください。製品やサービスを構築するためであって、資金調達が目的ではありません。チームはあなたを必要としています。製品はあなたを必要としています。サービスはあなたを必要としています。そのため、ラウンドがクローズされたら、自身の本来の業務に戻って取り掛かるようにしてください。

さて、1 つ警告です。投資者や起業家の多くは「資金調達は常に行うもの」と言います。確かにこれには一理あります。もしある投資の話があり、1 本のメールや電話でクローズできるのであれば、その投資を受けるべきでしょう。しかし、新規の投資者からの質問が多く、投資が受けられるまでに財務計画などのあらゆる情報を求められた場合は、その投資の話は脇に置いて、先に進むべきです。ラウンドは終了したと丁重に断り、製品開発に戻っていることを伝えます。ラウンドで資金を確保できたので、次は製品やサービスを世に出す番です。

これらのヒントがラウンドを効率的にクローズするのに役立てばと思います。先には想像している以上の苦難が待ち受けていますが、正しくやり抜く力、知恵、ほんの少しの運があれば、問題なくラウンドをクローズできます。

最後に、最近録画した資金調達のノウハウを紹介したライブセッションを紹介します。こちらから視聴いただけます。お時間ありがとうございました。

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