Unite 基調講演まとめ:Unity 6 の内側をのぞく

MELISSA ZELOOF / UNITY TECHNOLOGIESChief Marketing Officer
Sep 19, 2024|10 分
スペイン、バルセロナで開催された Unite 2024 のキーアート
Unite 2024 基調講演:Unity 6 と将来のバージョンの内側をのぞく

今週、世界中の Unity 開発者がスペインのバルセロナで開催された Unite 2024 に集い、本日の基調講演では、新機能の発表、開発者のサクセスストーリー、および本制作で使う Unity 6 に焦点を当てたエディター内のテクニカルデモが 1 時間以上にわたって行われました。

私たちは、Unity の最も安定したパフォーマンスバージョンとなる Unity 6 が 2024 年 10 月 17 日にリリースされること、そして長期にわたってサポートされることを発表しました。Unity 6 は、皆様が作りたいゲームを作り、より多くのプラットフォームでより多くのプレイヤーにリーチするために必要なツールを提供します。ゲームのビジュアルをより自由にコントロールできるようになったグラフィックレンダリング、簡素化されたマルチプレイヤーワークフロー、ウェブブラウザーのサポートが改善されています。Unity 6 Preview もこちらからダウンロード可能です。

基調講演は Twitch と YouTube でライブストリーミングされました(オンデマンドで全編が視聴可能です)。ハイライトだけをご覧になりたい方は、どうぞこの記事をお読みください。

Unity の最高経営責任者(CEO)兼社長を務める Matt Bromberg は、講演の冒頭で「本日私たちが皆様にご覧に入れるものによって、私たちがいかに私たちの役割を果たし、かつてのようなパートナーとなり、その関係をただ良いものにしていくのかを皆様に締めそうと考えています。」「毎日皆様に、目に見える変化をお見せできるものに

さらに注力してまいります。Unity をユニークなものにしているエコシステムの強化にさらに投資してまいります。安定性と、皆様が大きな存在になるために必要なものに重点を置きます。ゲーム開発のライフサイクル全体を通して、お客様をサポートする能力をさらに高めてまいります。シンプルに言えば、Unity は、皆様が素晴らしいゲームを開発し、プレイヤーとつながる手助けをするということです。」

Unity 6 のグラフィックス機能でハイパフォーマンスなゲームを作る

Unity 6 には、ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)のレンダリングフレームワークである Render Graph のような強力なグラフィックパフォーマンス機能が搭載されており、モバイルでのメモリ帯域幅とエネルギー消費を削減することができます。このリリースの新しいライティング機能は、2 つのスクリプタブルレンダーパイプライン(SRP)、すなわち URP と HD レンダーパイプライン(HDRP)の両方で利用することができます。新しいライトベイキングアーキテクチャアダプティブプローブボリューム(APV)も搭載されています。これはジオメトリの密度に基づいてライトプローブを自動的に配置するシステムで、リアルなライティングと、ライティングシナリオなどの動的なエフェクトを実現します。

また、 GPU Resident DrawerSplit Graphics Jobs によるレンダリングの高速化、GPU オクルージョンカリングを使ったフレームごとのオーバードローの削減による GPU パフォーマンスの向上など、CPU と GPU のパフォーマンスを最大化するための新しいツールも導入されました。Spatial-Temporal Post-Processing(STP)は、低解像度でレンダリングされたフレームをアップスケールし、高品質で時間軸方向にアンチエイリアスが施された画像を生成します。

これらの機能の多くは、Unite 2023 の基調講演で初めて紹介されたものです。また、HDRP 向けの Unity 6 版デモ『Fantasy Kingdom』も初公開されました。今年、私たちは URP に最適化され、モバイルで動作する同じデモを披露しました。そして、Unity 6 版『Fantasy Kingdom』のプロジェクトとアセットが Unity Asset Store を学習用および非商用利用向けに、来月の Unity 6 のリリースと同時に公開することを共有しました。

広い屋外を歩くキャラクターを映した『Time Ghost』のスチル画像
Unity Originals チームによる新しい『Time Ghost』のシネマティックのスチル

発表された新機能で一番の魅力的な部分はどこでしょうか?制作の現場を見て、これらの機能を使ってどのようなことが出来るかを感じ取りましょう。

Unity の Originals チームによる最新のシネマティックデモ『Time Ghost』を公開しました。このデモは、巨大で非常に詳細な屋外シーンと、高い忠実度で描かれたリアルなキャラクターが登場し、そのすべてがリアルタイムで動くことが特長です。チームはエディターを開き、Entity Component System(ECS)、APV、シナリオブレンディング、SpeedTree による植生生成などの機能を使って、クリップに描かれている世界がどのようにリアルタイムで実現されるかを披露しました。

また、時間に関する表現を含む CG にまつわる問題に対するユニークな解決策も詳しく解説しました。私たちは、チームのアーティストが作成した AI モデルを Unity Sentis でエディターに取り込み、複雑で忠実度の高いクロスのデフォーメーションをリアルタイムで十分な速度で近似する方法を紹介しました。

『Den of Wolves』エディター内デモの環境スチル画像
『Den of Wolves』エディター内デモの環境スチル画像

ツールが制作現場で使われている他の事例として、次に10 Chambers の次の期待作、ハイテンションな協力型の強盗ものゲームDen of Wolvesを取り上げました。

10 Chambers の COO である Svante Vinternatt 氏と Unity の Mike Geig がエディターに登場し、GPU Resident Drawer、APV、STP、DirectX 12 Split Jobs のサポートなど、チームにとって大きな進歩をもたらした Unity 6 の機能を紹介しました。

「当初、『Den of Wolves』は Unity 2022 LTS で制作するつもりでした」と Vinternatt 氏は説明する。「しかし、Unity 6 でパフォーマンスとレンダリング品質の両方が改善されたのを見て、アップグレードは明らかに良い選択肢であることがわかりました。」

簡素化されたワークフローでマルチプレイヤーゲームを制作

インテグレーション、イテレーション、デプロイメントをより速く、より信頼性の高いものにするために、マルチプレイヤー開発の高速化も Unity 6 で大いに注力している領域です。このプロセスを合理化するいくつかの新機能について掘り下げました。たとえば、特定のプロジェクトのニーズに合わせてツールや学習教材を推奨する Multiplayer Center や、必要に応じてよりモジュール化されたネットワーク機能を簡単に追加できる Multiplayer Services Package などです。

また、新しい Multiplayer Play Mode のデモも行い、無料の『Megacity Metroデモ(Unity 6での活用や学習をスタートさせられるようにアップデートしました)を使って、エディター上でマルチプレイヤーシナリオのシミュレーションやテストがいかに簡単にできるかを紹介しました。わずか数クリックで、チームは複数のインスタンスをエディターの横に並べて、すべてのインスタンスをネットワークにつなぎました。

マルチプレイヤーモードでのネットワークプレイのデモ
マルチプレイヤーモードでのネットワークプレイのデモ

私たちはまた、マルチプレイヤーのためのビルド時間を調節するためのツール以外にも目を向けました。Distributed Authority(ベータ版)は新しいネットワークトポロジーで、ゲームプレイの状態をサーバーサイドで維持しながら、シミュレーションをプレイヤーのゲームクライアントに分散させることで、規模が拡大してもホストの移行をシームレスに行うことを可能にします。

マルチプレイヤーに関する話題の締めくくりとして、Highrise Studios の創設者兼 CEO である Milan Peschl 氏が壇上に上がり、チームが近日リリース予定のゲームにおいて Unity 6 で提供されている一連のマルチプレイヤーサービスを、同社の近日発売となるゲーム『Degenheim』どのように使用しているかについて語りました。彼は、当初はさまざまなソリューションやサードパーティのアセットパックを混在させて開発を行っていたものの、最終的には Unity 6 に統合されている完全なマルチプレイヤーのエコシステムを使用することを選択したと振り返りました。

「インディーゲームのスタートアップの立場から言うと、これは『大きなスタジオが出来ること』を解き放ち、私たちの開発者が苦手とする複雑な部分を抽象化し、代わりに好きなこと、つまりゲームそのものに集中できるようにしてくれるものです」と Peschl 氏は説明しました。

プレイヤーとつながり、ゲームを成長させる

どんなゲームでも、成功するために本当に重要なことはプレイヤーを見つけ、維持することです。そこで次に、ライブゲームの構築、管理、最適化について、まず Unity LiveOps のワークフローである Releases(ベータ版)を紹介しました。このワークフローは、あらゆる規模のチームがライブゲームで安全に実験できるように設計されています。まもなくオープンベータが始まるこの新しいプロセスにより、プレイヤーのエンゲージメントとリテンションに役立つアップデート、新しいステージをはじめとしたコンテンツをスムーズにロールアウトし、Cloud Diagnostics を使って新しいリリースのパフォーマンスを監視し、問題があれば変更をすばやくロールバックして微調整し、再度リリースすることができます。

Google の Jack Buser 氏が登壇し、このコンセプトを基盤として、スケーラブルなインフラと AI を組み合わせ、ゲームを成長、適応させて、さらなる成功に導く、「リビングゲーム」に関する Google Cloud のビジョンを語りました。

そこからさらに、成功するゲームビジネスを構築するためのツールに焦点を移しました私たちはまず、大ヒットゲーム『Subway Surfers』で、10 年以上にわたって何百万人ものプレイヤーを熱狂させてきた SYBO のようなモバイルゲーム業界のリーダーに注目しました。そして、Unity LevelPlay を使って、あらゆる規模のモバイルスタジオが、収益を挙げるためのマネタイズと、プレイヤーへの素晴らしいゲーム体験の提供の間で、どのようにバランスを取ることができるのかについて掘り下げた議論を行いました

LevelPlay は Unity エディターに統合され、Unity AdsironSource Ads だけでなく、最大 25 種類におよぶ、さまざまな広告ネットワークにアクセスできるようになりました。プレイヤー視点からのプレビュー、A/B テスト、リアルタイムのパフォーマンスレポート、異なるユーザーグループ向けにセグメントされた広告エクスペリエンスを構築する機能など、広告エクスペリエンスを微調整するための一連のツールが含まれています。また、プレイヤー獲得の支援を利用することもでき、マネタイズで挙げた収入をユーザー獲得キャンペーンの資金に回すこともできます。


アニメーション化された自然なワールドを示す Stratton Studios のウェブゲーム『Project Prismatic』のスチル。
Stratton Studios のウェブゲーム『Project Prismatic』のスチル。

私たちはこれまで幅広いリーチを誇ってきました。対応プラットフォーム数は 20 におよび、なお増え続けています。そして Unity 6 では Unity Web により、モバイルをターゲットにする新しい方法を提供します。インストール不要で、高速なロードを実現するモバイルウェブは、カジュアルゲーマー向けに手ごろなサイズのコンテンツを提供するという使われ方で人気を博しており、成功事例としては、Stratton Studios の驚異的な『Project Prismatic』などが挙げられます

私たちは、より多くの方がウェブゲームの開発に飛び込んでくださることを心待ちにしています。そこで、Crazy Games と協力してゲームジャムを開催し、Unity 6 のランタイムサポートを活用してウェブブラウザーのためだけのゲームを作っていただくことにしました。

Unity 6 でのより深い長期的なサポートへのコミットメント

私たちは Unity 6 に非常に期待しています。お客様と緊密に協力し、これまでで最高の、最も安定した、パフォーマンスの高い Unity のリリースに仕上げることができました。しかし、私たちは基調講演の最後に、さらに次の世代で素晴らしいゲームを開発・運営していただけるように、私たちが取り組んでいることを先回りしてご紹介しました。

最も重要なこととして、ユーザーの皆様により良いサービスを提供できるように、Unity 6 を必要な限りサポートすること、また、エディターとエンジンからより多くの価値を引き出すことができるよう、サポートの提供方法を拡大することに取り組んでまいります。来年初めにリリース予定の Unity 6.1 アップデートに向けて、すでにこの取り組みは始まっています。これはまだ Unity 6 リリース世代に含まれますが、やはりアップデートが施されています。Unity 6 のコア機能はそのままに、折りたたみ式やより大きなサイズのスクリーンフォーマットのサポート、GPU Resident Drawer のディファード + レンダリング、新しいビルドターゲットやビルドプロファイルなどの新機能が追加されます。皆様にこれらの新機能や改善にアクセスできる手段をご提供し、来年 Unity 6.1 アップデートが出荷される際には、Unity 6 のプロジェクトを簡単にアップデートに対応させることができるようにしてまいります。

しかし、その次のメジャーリリースの世代についても、皆さんからのフィードバックに後押しされながら、順調に開発を進めています。この世代のメジャーリリースではエンジンに対するアプローチを根本的に替える見込みです。また、このリリースで予定されている主な機能のほんの一部だけ取り上げても、ECS をエンジンの中核に据え、新しいコンテンツパイプラインアプローチ、DOTS をベースにしたワールドビルディングシステム、アニメーションシステム、および、より優れたスクリプティングなどが導入される見込みになっています。この世代に期待したいものがたくさんありますが、まだ完成までの道のりは長いです。

リリースまであと 1 か月弱ではありますが、皆様が Unity 6 の世界に飛び込んでいただけることをとても楽しみにしています!皆さんの作品を目にすることを楽しみにしています。

Unity 6 が 2024 年 10 月 17 日にリリースされます。テクニカルブレイクアウトセッションのハイライトをはじめ、Unite 2024 に関するさらなる記事をお楽しみに。また、Discussions でコミュニティにいるユーザーの方ともご意見、ご質問をぜひ共有してみましょう。