Unity におけるキャラクターアート制作の上級者向けヒント

SAKURA RABBIT / UNITY TECHNOLOGIESInsider
May 29, 2023|14 分
Unity におけるキャラクターアート制作の上級者向けヒント
このゲスト記事では、Sakura Rabbit 氏(@Sakura_Rabbiter)がアート制作への取り組み方と、Unity でリアルなキャラクターを作るヒントを紹介します。

最近ようやく自由な時間ができたので、キャラクター制作について何か書いてみようと思いました。ちょうど何人かのキャラクターを立て続けに作り終えたところなので、制作工程の全体についてはすっかり熟知しています。世界観のアートデザイン、キャラクターの背景づくり、そしてキャラクターの実装テクニックについてお話するわけではありません。これらのトピックについてはすでに詳しい記事がたくさんあるので、ここでは触れないでおきます。

では、他にどのようなお話ができるでしょうか。いろいろ考えた結果、Unity エディターでリアルなキャラクターを制作するコツについて記事を書くことにしました。

あなたは「どうして Sakura Rabbit はこのトピックを選んだのだろう」と思っているかもしれません。答えは簡単。私自身、大変な思いをしながらこの技術を一から学んできたからです。皆さんが私の間違いから何かを学び取り、自身の作品づくりにおけるエラーを減らすことができることを願いながら筆を執っています。

それでは、始めましょう!

Alt テキスト:Unity で VFX キャラクターの 3D 回転を示す GIF(出典:Sakura Rabbit)
Unity でキャラクターモデルの 3D 回転を示す GIF(出典:Sakura Rabbit)
15 ステップのプロセス

一般的に、キャラクターモデルの実装工程は以下のステップを伴います。

1.三面図の描画 →

2.モデルのプロトタイプの作成 →

3.高精度モデルの作成 →

4.ローポリゴンのトポロジー →

5.UV 展開 →

6.法線マップの作成 →

7.マッピング →

8.肌のリギング →

9.骨格と頂点のアニメーション →

10.エンジン内でのシェーダー作業 →

11.エンジン内でのレンダリング →

12.エンジン内でのリアルタイム物理演算 →

13.アニメーションの適用およびアニメーター →

14.キャラクターコントローラー/ AI の実装 →

15.特殊効果、ボイス、サウンドエフェクトなど

合計 15 のステップがあります。この工程は複雑に見えるかもしれませんが、キャラクターデザインの観点から言うと、これらの要素や詳細はすべてあなたのキャラクターが最終的にゲームエンジンでどのように表示されるかに影響します。そのため、完成したモデルを望む形で表示させるためには、このように多くのステップが必要となります。全工程には長い時間がかかり、全部のステップを特定の順序で行う必要があります。どのステップも非常に重要です。工程が適切に行われなかったり、途中で手を抜こうとしたりすると、完成したモデルに直接的な影響が出ます。

Unity エディター内で VFX キャラクターのニット帽にクローズアップして始まり、ズームアウトして顔と髪の毛全体を表示する GIF(出典:Sakura Rabbit)
Unity エディター内で VFX キャラクターのニット帽にクローズアップして始まり、ズームアウトして顔と髪の毛全体を表示する GIF(出典:Sakura Rabbit)

まずは、アート制作の事前準備作業から見ていきましょう。前述の 15 のステップは、ざっくりと 4 つの段階にまとめられます。

原画の作成 → モデリング → アニメーション → レンダリング

とてもシンプルになりましたね。では、本題に入りましょう。キャラクターモデルの制作経験を通じて、いくつか学んだことがあります。これらのヒントが、あなたのプロジェクトに役立つことを願っています!

Unity エディター内で VFX キャラクターのショルダーアップをフレーミングした画像(出典:Sakura Rabbit)
Unity エディター内で VFX キャラクターのショルダーアップをフレーミングした画像(出典:Sakura Rabbit)

まず、始める前にチェックポイントをいくつか設定しておきましょう。頂点数、マップサイズ、ボーン数など、よく挙げられるものは割愛します。代わりに、以下に焦点を当てていきます。

  • その後の AI 実装に影響するので、このキャラクターには人間の骨格を持たせたいと思います。人間の骨格を実装すると、モーションキャプチャデバイスやインターバルアニメーションライブラリを使用して、コントローラーや AI で使用できる高品質のアニメーション一式を素早く作成できるため便利です。
  • さらに、自分のキャラクターに必要なマテリアル効果についても、前もって計画しておく必要があります。望む効果を生み出すには、UV、エッジ分布、マッピングといった前段階が不可欠です。モデルやアニメーションが完成するまでこれらを後回しにすると、ほとんどの場合、デザインを作り直すことになります。後々仕事を増やさないために、前もって効果について考えておくのがベストです。
  • キャラクターの物理効果の中には、特定のコンポーネントに対して物理的な処理が必要なものがあり、これらは個別に処理する必要があります。これも事前に考慮すべき基準です。

これらのチェックポイントが確認できたら、次のステップは実装です。始め方は以下の通りです。

原画

キャラクター制作をスムーズに進めるためには、最初のステップである原画を丁寧に作成することが大切です。これを事前にきちんとやっておかないと、後のステップの構成や効果に影響を及ぼす可能性があります。次に何をすべきかを見極めるためにも、原画を描くときには次のことに気をつけてください。

  • モデル:原画はモデリングに適したものでなくてはなりません。例えば、モデリングが難しい構造のものを描いてはいませんか。ローポリゴンのトポロジーを制作する際、エッジの分布が難しくなる可能性のある箇所はありませんか。
  • アニメーション:原画はアニメーションにも適している必要があります。例えば、リギングが難しくなる可能性のある箇所はありませんか。人間の骨格に合わない構造体などはありませんか。
  • シェーダー:次に、シェーダーの実装について考える必要があります。自分に問いかけてみてください。描いたマテリアル効果のシェーダーの実装は難しくなっていませんか。パフォーマンスはどうですか。マテリアルの分類はどうですか。特別なエフェクトは必要ですか。1 つのパスで実装できそうですか、それともマルチパスが必要ですか。
  • 物理演算:シミュレーション計算が必要な構造体はありますか。モーションはどのように実行されますか。

これら全てを念頭に置いて原画を作成することで、その後のステップで作業を効率化できます。

ヒント:人体を描くときは、3D モデリングソフトを使うと便利です。こうすることで作業効率が向上するだけでなく、構造的および視点的な関係の正確性も保証できます。

複数の角度から VFX キャラクターのを見た画像(出典:Sakura Rabbit)
複数の角度から VFX キャラクターのを見た画像(出典:Sakura Rabbit)
モデリング

モデリングにも同じルールが当てはまります。つまり、次のステップを考慮する必要があるのです。モデリングはきちんと行わなければならず、UV マッピング、エッジ分布、マテリアル分類などの要素についても事前に計画を練らなくてはなりません。モデリングは、レンダリングに至る前にアニメーション工程を経る必要があるため、工程の中で最も重要な部分です。レンダリングに問題があった場合、モデリングとアニメーションの工程をやり直す必要があります。

  • マッピング:モデルはマッピングにも適している必要があります。UV を共有できる構造体はありますか。マップのピクセルを最大限活用できていますか。アルファが必要なコンポーネントはありますか。
  • アニメーション:ブレンドシェイプでどのように表情を作るか、そして UV でモデルがどのように分割されるか考える必要があります。また、アニメーションを必要とする構造体を特定し、モデルのリギングをより自然にするために、エッジをどのように分布させるべきかを決定する必要があります。
  • シェーダー:この段階では、シェーダーを実装して特別な効果をもたらすために、UV をどのように配置すればいいか、また、モデリングマテリアルを分類する際にどのマテリアルを分離する必要があるかを考えます。
  • 物理演算:同様に、シミュレーションされた効果をより自然に見せるためには、エッジを適切に分布させる必要があります。

モデルを作る際、やり直しを避ける最良の方法は、その後のステップを考慮しながら事前に計画を立てることです。

ヒント:ZBrush などのソフトウェアを使ってハイポリゴンモデルを描く際、細かなテクスチャを入れる必要はありません。解像度の制限のため、直接ベイクしてマップを作ると細部のエフェクトが潰れてしまいます。これらのディテールは、シェーダーのマスク ID を使って分け、ディテールマップを使って追加しましょう。メインマップには含めないでください!

石造りの建造物の芸術的なディテールを示す画像(出典:Sakura Rabbit)
石造りの建造物の芸術的なディテールを示す画像(出典:Sakura Rabbit)

シェーダーで直接これらのディテールを追加するのが得策です。

水が滴り落ちるVFX キャラクターの顔のクローズアップ GIF(出典:Sakura Rabbit)
水が滴り落ちるVFX キャラクターの顔のクローズアップ GIF(出典:Sakura Rabbit)
アニメーション

モデルのリギングを行っている間は、モデルの信頼性を保つために、ファイルを 1 つずつ .obj 形式でエクスポートしてアニメーションソフトウェアにインポートするのがおすすめです。その後、モデルの法線方向、ファイルのレイヤー、シェーダーの割り当てをチェックし、問題がないか確認します。全てに問題がなければ、モデルのリギングを続けましょう。

ボーンの位置は、ジョイントの動きの自然さに影響するため、モデルのリギングにおいて非常に重要です。これは、特に念を押して伝えたいことです!肌のウェイトは問題なくても、ボーンの位置が間違っていると大変なことになります。

ヒント:例として、臀部の中心にある腰のボーンを挙げてみましょう。モデルに自然な動きをさせたいなら、ボーンの位置が正確である必要があります。そうでないと、モーションキャプチャデバイスを使ったり、他のアニメーションに適用したりしたとき、アニメーションが歪んでしまいます。

腰ボーンの動きとそれを Unity で操作する方法を示す VFX キャラクターアニメーションの断面画像(ソース:Sakura Rabbit)
腰ボーンの動きとそれを Unity で操作する方法を示す VFX キャラクターアニメーションの断面画像(ソース:Sakura Rabbit)

ここまで来れば、作業の最後のステップまであと少しです。それでも、物事を軽く考えてはいけません。制作過程において、考慮すべき問題がいくつかあります。

  • モデル:モデルを再度チェックし、法線の向きが正しく揃っていること、ソフトエッジとハードエッジに問題がないこと、モデルのコンポーネントとマテリアルの分類が正しく行われていること、ブレンドシェイプが必要なコンポーネントが組み合わされていること、マテリアルとネーミングに問題がないことを確認します。
  • アニメーション:今あるボーンの構造がエンジンのヒューマノイドの要件を満たしているかどうかを確認します。
  • シェーダー:エフェクトが必要な構造体が分けられているか再度確認します。
  • 物理演算:シミュレーションでボーンを使う部分と頂点を使う部分を特定します。

これで、エンジンを使う前の下準備は完了です。次に、モデルマップ一式を Unity にインポートし、事前に行った作業をすべてマージする必要があります。

ヒント:肌のウェイトを調整する際、スキニングソフトウェアとエンジンを切り替えて効果を試すことができます。キャラクターにアニメーションが追加されると、問題を可視化しやすくなります。例として、以下の画像を見てみましょう。キャラクターが動いているとき、肩甲骨が特定の角度に達するとグリッチが発生するのがわかります。頂点のウェイトの滑らかさが足りないのが原因です。

Unity エディターのウィンドウで踊る VFX キャラクターの GIF(出典:Sakura Rabbit)
Unity エディターのウィンドウで踊る VFX キャラクターの GIF(出典:Sakura Rabbit)
レンダリング

事前にチェックポイントを設定していた場合、実装工程は非常に簡単なはずです。

シェーダーについては、モデルを作る過程ですでにマテリアルを分類しているので、分離されたコンポーネントのマテリアルを個別に設定または作成するだけです。アニメーションの適応については、あらかじめヒューマンスケルトンの規格を設定してあるため、Unity のヒューマノイドを直接使用できます。こうすることで、アニメーションの作業時間を大幅に短縮できます。

また、モーションキャプチャを適用して仕事量をさらに減らすこともできます。作成したブレンドシェイプが ARKit の命名規則を満たしていれば、顔のモーションキャプチャを直接実行して、顔のブレンドシェイプのアニメーションを作成できます。

ヒント:Advanced Skeleton を使用してリギングを行った場合、Unity にインポートした際にキャラクターの肩甲骨と肩のノードの整列に問題が発生する可能性が高いです。その場合、ヒューマノイドインターフェースで手作業で調整してください。

Unity エディターウィンドウ内のアニメーション化された屋外シーン内で踊る VFX キャラクターの GIF(出典:Sakura Rabbit)
Unity エディターウィンドウ内のアニメーション化された屋外シーン内で踊る VFX キャラクターの GIF(出典:Sakura Rabbit)

ずいぶんと長くなりましたが、以上です!まとめると、原画からモデリング、アニメーション、レンダリングに至るまで、キャラクター制作の工程全体を通して結果重視のアプローチを取り、望む結果を得るために取るべきステップを決めることをおすすめします。また、次のステップで何をすべきか、現在のステップで何に注意すべきかを常に把握できるよう、制作工程全体についても十分に理解しておくと良いでしょう。

街の路上でライブで踊る VFX キャラクターの GIF、完全なシーン(出典:Sakura Rabbit)

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(^_^) Sakura Rabbit 樱花兔

Sakura Rabbit 氏のキャラクターアートは、e ブック「The definitive guide to creating advanced visual effects in Unity」の表紙を飾りました。この e ブックはこちらから無料でご覧いただけます。Sakura Rabbit 氏による更なる情報に興味がある方は、TwitterInstagramYouTube、そしてこの記事が最初に公開された彼女の FanBox ページをご覧ください。Made with Unity の開発者によるブログはこちらでさらにご覧いただけます。