最終更新:2020 年 6 月(読み終わるまでの時間:10 分)

モバイルゲームの効率的で持続可能な収益化の方法

 

 

このページで学べる内容:ゲームで優れた収益化基盤を構築する方法を、重要な KPI に基づく目標やヒントと一緒に学習できます。同様のテーマの別のアドバイスを、deltaDNA のリソースページから無料で入手できます。

deltaDNA とは

Unity の deltaDNA は、高度なデータ解析機能を備えた、ゲームメーカーのための優れたプレイヤーエンゲージメントツールです。

クロスプラットフォームのリッチなデータ機能を備えたこのエンドツーエンドソリューションを使用することで、パブリッシャーや開発者は、プレイヤーのさまざまな行動をより的確に把握し、パーソナライズされた体験を創出し、個々のプレイヤーをリアルタイムにターゲティングすることができます。deltaDNA の 30 日間無料体験版(フル機能)は、こちらから入手できます。

概要

フリートゥプレイ(F2P)初期の頃は、ゲームの収益化戦略と言えば、せいぜいアプリ内課金(IAP)の価格くらいしか話題がありませんでした。今では、効果的な収益化戦略には、メッセージング、オンボーディング、期間限定プロモーション、クロスプロモーション、ユーザー獲得(UA)費用が盛り込まれるようになっています。F2P をめぐる今日の状況では、パブリッシャーの収益全体に占めるゲーム内広告の割合がかつてないほど高くなっています。つまり、無課金プレイヤーも、対極にある課金に抵抗のないプレイヤーと同じく、重要な収益源になっているのです。

世に出回っている F2P ゲームのうち、収益化戦略で成功しているゲームの数は、全体から見ればごく少数でしかありません。熱狂的なファンを持つタイトルですら、こと収益化に関してはうまくいっていないものも少なくありません。それはなぜでしょうか?それは、基本ができていないか、ありがちな罠にはまっているか、その両方だからです。

このガイドで取り上げる内容:

  • KPI の重要な目標値としきい値
  • 収益化メカニズムの実装に関するベストプラクティス
  • 回避すべきありがちで無駄にコストがかかる失敗

収益化の基礎:KPI、やるべきこと、避けるべきこと

エンゲージメントやリテンションなどの指標が優秀でも収益化には苦労するゲームというのは、あり得ます。実際、Unity でもよく目にします。さらに悪いことに、多くのパブリッシャーがゲームの収益化メカニズムのパフォーマンスを正確に評価できずに苦労しています。1 日のアクティブユーザーあたりの平均収益(ARPDAU)が 10 セントというのが、F2P ゲームでは絶対的な基準になります。 

Unity では、数千本のゲームと数十億人のプレイヤー体験を分析し、その基準をクリアして収益化を実現することを目指すゲームメーカーにとって不可欠なターゲット KPI をいくつか算出しました。

リテンション

リテンション

ゲームではリテンションがすべての基盤になります。離脱したプレイヤーを分析、セグメント化、エンゲージメント、収益化の対象にすることはできないからです。そこで、Day 7 リテンション率を 10% 以上にすることを目指しましょう。その他の戦略を展開するのは、それからです。

やるべきこと

キャンペーンは無理なく統合

ブラウジング体験をできるだけスムースで楽しいものにするため、キャンペーンのコンテンツは正直に、それとわかるようにしておきましょう。だまされて購入を開始したプレイヤーが購入を完了する可能性は、ほぼありません。だまされたプレイヤーが不快に思うことは間違いありません。プレイヤーが適切なタイミングで直感的にコンテンツに導かれるようにして、強制的なナビゲーションパスを設定しないことが、エンゲージメントを最大限に高めるための最善の方法です。

避けるべきこと

プレイヤーに大量のメッセージを浴びせる

永遠に続くかと思われる押しつけがましいポップアップ、メッセージ、プッシュ通知はプレイヤーの楽しみを損ない、離脱の可能性を高めるだけでなく、プレイヤーがキャンペーンを無視するようになり、まったく反応してもらえなくなる原因にもなります。同じことが雑然とした UI やストアフロントについても言えます。いろいろ見せられすぎて嫌気がさしたプレイヤーは、自分をターゲットにした適切なキャンペーンですら目をそらしてしまう可能性があります。

高いリテンションだけでは、収益化に成功する保証はありません。deltaDNA プラットフォームが提供している概要レベルのデータが、このことを明確に裏付けています。

  • D7 リテンションが 10% 以上のゲームのわずか 38% が 10 セントの ARPDAU を達成
  • D7 課金プレイヤー率が 10% 以上のゲームのわずか 54% が 10 セントの ARPDAU を達成
支払い分割

課金プレイヤー率

F2P ゲームのプレイヤーの大半は出費しませんが、それは問題ではありません。Day 7 課金プレイヤー率 10% を達成できたら、持続可能で収益性の高い ARPAU への道が開けたようなものです。

やるべきこと

初めての購入は「自然な流れで」

ゲームのチュートリアルでは、必ず IAP に言及し、ストアのしくみをひととおり簡単に説明しておくようにしましょう。ストアフロントにはメインのユーザーインターフェース(UI)からいつでも簡単にアクセスできるようにし、クリーンで、情報豊富で、使いたくなる感じにしておきます。

オンボーディングやチュートリアルのフェーズでゲーム内経済とストアについて説明したら、プレイヤーがどうしても欲しくなるようなキャンペーンを提示しましょう。スターターバンドルやその他同様の条件付きパックを販売すると、プレイヤーにお買い得感を与えつつ、「今買わなければ」という気持ちにさせる効果もあります。キャンペーンが無期限でないことを伝えます。

避けるべきこと

慎重すぎて及び腰になる

プレイヤーが初めて経験するゲーム内経済はポジティブなものであることが重要です。プレイヤーがゲームをある程度楽しんでゲーム内経済に慣れる前の早い段階から収益化にやっきになると、離脱のリスクが非常に高くなります。とはいえ、リテンションへの影響を恐れるあまり、IAP の案内表示や紹介に対して過剰に慎重になってしまうゲームメーカーも見受けられます。

プレイヤーが初めてストアを見たとき(またはキャンペーンメッセージを目にしたとき)に、それが魅力的でなければ、その後のエンゲージメントの可能性は大きく低下します。プレイヤーとの接点を利用してアドバイスや手がかりでプレイヤーを育成することで、プレイヤーはメッセージをセールスツールとしてよりも関係構築の機会として捉えるようになります。

IAP プライスポイント

最低プライスポイントを 2 ドルより下に設定すると、ゲームの価値が著しく低下します。最低プライスポイントを引き上げてもコンバージョンに悪影響はありませんが、ARPDAU は劇的に上昇します。

やるべきこと

高価なアイテムと通貨パックには常に割り引きを適用する

当たり前のように思えますが、より高価なアイテムと通貨パックは、ピラミッドの下の方のものよりも良いレートで換金されるべきです。プレイヤーの「もっとたくさん通貨を使いたい」という気持ちを削ぐべきではありませんが、実際それが頻繁に起きているのを目にします。より多く出費すれば、それだけの見返りが得られるようでなくてはなりません。

避けるべきこと

安価なものと高価なものを同等に扱う

多くの開発者が、低すぎる最低プライスポイント(2 ドル未満)に設定したり、安価な IAP/バンドル/通貨パックをもっと高価な価格帯のものよりもお得感のあるものにしたりするという、よくある間違いを犯しています。

課金のリピート率

F2P タイトルの課金プレイヤー率は軒並み低いので、その少数の課金プレイヤーが繰り返し課金をすることで ARPDAU が向上することになります。課金プレイヤーあたり 3 回以上の課金リピートで、確実に ARPDAU 10 セントを達成できるはずです。

やるべきこと

収益化をコアゲームループの中心に据える

ごく早い段階から収益化をコアゲームループの中心的な要素に据えておくことで、ゲームプレイの中に溶け込ませることができます。プレイヤーが課金の機会やキャンペーンに触れることなくプレイスタイルを確立し、そのスタイルでプレイしている期間が長ければ長いほど、課金に対するプレイヤーの反応は鈍くなります。

避けるべきこと

一般的または無差別的なキャンペーンを提示する

季節のプロモーションやイベントトリガーのキャンペーン(初回セッションなど)を除いて、プレイヤーが一般的なキャンペーンをすべて当然のように受け取るべき理由はどこにもありません。行動や、プレイスタイル、エンゲージメント履歴に関係なく、すべてのプレイヤーにすべてのキャンペーンを闇雲に送りつけるのは意味のない行為です。あるプレイヤーにとって魅力的なキャンペーンでも、他のプレイヤーにとっては無関係な、場合によっては迷惑なものもあります。

重課金プレイヤー

少数派の中の少数派として、重課金プレイヤーは本当に貴重な存在です。しかし、その影響は甚大(かつ重要)です。プレイヤーライフサイクル全体で 100 ドル以上を出費してくれる、ゲームへの忠誠度が高い重課金ユーザーの数のわずかな変動は、目標とする 10 セントを達成できるかどうかを大きく左右します。課金プレイヤーの 5% を重課金プレイヤーにすることを目指しましょう。

やるべきこと

長期的な計画を立てる

長期的なエンゲージメントを確立し、すべての課金プレイヤーが報われるような体験を創出することに力を注ぎましょう。それが重課金プレイヤーをできるだけ多く生み出すための有効な戦略です。重課金プレイヤーが行ったアプリ内課金全体で、標準的な購入額は 20 ドルです。つまり、重課金プレイヤーは平均してそこまで高額でないバンドルを購入していることになります。

避けるべきこと

大口の課金を追求する

重課金プレイヤーには、回数の面で大きな課金をしてもらうことを追求しましょう。重課金プレイヤーの半数以上(54%)は、1 回で 50 ドル以上になる購入を行いません。この点を念頭に置いて収益化の方針を決めるようにしましょう。非常に高価な単体アイテムやバンドルは効果がありません。

次のステップ

ここまで紹介してきた KPI は F2P 収益化の基礎ではありますが、顧客生涯価値(LTV)の高いゲームにするためのレシピはもっと複雑です。より具体的な戦術としくみは、こちらで公開しているガイドで大まかに解説しています。ただし、「コアゲームを利用してプレイヤーを IAP に向かわせ、何度もコンバージョンを起こしてもらうことを重視してインテリジェントに価格を設定するのが優れた収益化戦略である」という紛れもない事実を忘れないでください。

プレイヤーファーストを心がける

パーソナライズされたエンゲージメントを使用してプレイヤーとのインテリジェントで長期的な関係を構築します。

弊社のウェブサイトは最善のユーザー体験をお届けするためにクッキーを使用しています。詳細については、クッキーポリシーのページをご覧ください。

OK