2025 モバイルゲームの動向:Unityの視点

2024年、モバイルゲーム業界は再び大きな変革を迎えました。既存の主要トレンドが継続する中で、新たな成長機会も生まれ、2025年に向けたさらなる発展が期待されています。本ブログシリーズの「2025 モバイルゲームの動向:業界の視点」でも取り上げられているように、モバイルゲーム業界は上昇基調にあります。Sensor Towerのデータによると、App StoreとGoogle Playにおける消費者収益は800億ドルを超え、2023年比で4%の成長を記録しました。また、2024年はアプリのインストール数がゲームを上回る年となり、開発者はモバイルゲームと同様の収益化・ユーザー獲得戦略を採用しつつ、新たな広告フォーマットの開拓を進めました。さらに、リワード広告の分野は過去数年間の成功を土台に飛躍的な成長を遂げ、2025年もさらなる拡大が見込まれています。
また、2024年は広告の品質向上が重要な課題となりました。この傾向は2025年も継続し、開発者はユーザー体験を向上させるための新たな戦略を実装していくでしょう。
それでは、2025年にはどのような変化が訪れるのでしょうか。広告収益化の戦略的転換、ミッドマーケットタイトル(中規模ゲーム)の復活、そしてAPAC市場の成長見通しなど、Unityの専門家が2025年のモバイルゲーム業界を予測します。
報酬型マーケットプレイスはゲーム・モバイルの枠を超えて拡大
過去数年間、リワード広告市場は大きく成長しましたが、その成長は断片的なものでした。現在、より多くのアプリやネットワークが開発者とユーザーに対し、リワード広告を提供するようになっています。一方、広告主側でもこのチャネルの価値が認識され、広告予算の配分が増加しつつあります。こうした動向により、すべての関係者にとってメリットのある市場環境が形成されています。2025年には市場の成熟が進み、主要プレイヤーのポジションが確立されるとともに、広告の質もさらに向上するでしょう。
この急成長は今後も続くのでしょうか。成熟市場においては成長が継続する可能性が高いものの、成長速度は徐々に緩やかになるかもしれません。2025年に向け、リワード広告の市場は非ゲームアプリ分野への拡大が進むと考えられます。加えて、これまで主にアプリを中心に展開されていた市場が、ウェブ領域にも広がる兆しが見え始めています。その結果、2025年にはリワード型マーケットプレイスがウェブ領域へと拡大する可能性が高まっています。
サブスクリプションアプリの広告収益化が加速
2025年には複数の要因によって、サブスクリプション(定額課金)アプリが広告を新たな収益源として取り入れる動きが加速すると予想されます。2024年は市場の飽和と消費者の価格感度の高まりにより、サブスクリプションモデルの収益が伸び悩みました。一方で、広告収益化による多様でスケーラブルな収益機会が注目され、より多くのサブスクリプションアプリが広告を統合するようになりました。さらに、広告のパーソナライズの進化や視認性の向上により、広告収益化の魅力が増しています。
消費者の嗜好も変化しています。より多くのユーザーが、サブスクリプション料金の割引や追加機能の提供と引き換えに広告を受け入れるようになっています。さらに、ハイブリッドモデルやフリーミアム(基本無料+課金)モデルを採用するアプリも増えており、持続的な成長の可能性が広がっています。広告の統合が進む中で、ユーザー体験を損なわない広告の配置や、適切なデータ保護の実施が重要になります。
ミッドマーケットタイトルの復活が高品質コンテンツを生む
2024年には、PCやコンソール向けの「ミッドマーケット」タイトル(中規模ゲーム)の開発が復活しました。これは、大規模なAAAタイトルと小規模なインディーゲームの中間に位置するゲームで、主に小規模なスタジオが開発し、短く洗練された体験を提供するものです。
現在の市場には、大作フランチャイズとレトロ風のインディーヒットが混在していますが、ミッドマーケットタイトルはより実験的な試みを可能にし、ニッチなジャンルや特定のフランチャイズに焦点を当てています。多くの開発者は単なる規模の拡大ではなく、ゲームデザインの質を重視しており、プレイヤーが没入できる世界観や緻密に作り込まれたコンテンツを提供しています。2025年には、こうしたタイトルが成熟し、多くの新作が登場することが期待されます。
ハイブリッドカジュアルゲームの成長が広告戦略を変革
2025年には、ハイブリッドカジュアルゲームがモバイルゲーム広告の中心的な存在になると予想されます。これらのゲームは、スケール(規模)、品質、ジャンルの多様性を兼ね備えており、高品質なユーザーを引き付けながら大量のインストールを獲得できるため、広告市場での地位を確立すると考えられます。
この成長に伴い、広告戦略も進化します。広告主は、より没入感のあるストーリー性の高い動画リワード広告に注力するようになります。また、パズル、シミュレーション、アクションといった多様なハイブリッドカジュアルのサブジャンルが増えることで、広告主はクリエイティブのアプローチを多様化し、それぞれのユーザー層に最適化されたキャンペーンを展開できるようになります。
APACのゲーム開発者がグローバル市場へ進出
2025年、APAC(アジア太平洋地域)のモバイルゲーム市場は大きな成長と世界的な影響力の拡大が期待されています。中国、日本、韓国の開発者は、すでに自国市場を支配するだけでなく、グローバル市場でも重要なシェアを獲得しており、このトレンドは2025年もさらに加速すると予想されます。
革新的なゲームメカニクス、没入感のあるストーリーテリング、AIを活用したゲームプレイの進化など、APACの開発者は業界の新たな基準を打ち立てています。2025年には、より多くの開発者がグローバル市場で成功を収めるでしょう。
スケール拡大のための長尺プレイアブル広告の導入
2025年には、特にパズルゲームにおいて、長尺のクリエイティブがスケール拡大の鍵となる可能性があります。60秒、または一部のネットワークでは最大120秒の動画広告は、エンゲージメント向上に効果があることが知られています。また、20回以上のインタラクションを含む、1〜2分間の単独プレイアブル広告も、ユーザーの関与を深めるのに有効です。これらの長尺フォーマットは、ユーザーが広告と十分にやり取りし、感情的に没入する時間を確保できます。さらに、長尺プレイアブル広告は、明確な目標やチャレンジングなゲームプレイを提供し、コアメカニクスを十分に体験できる機会をユーザーに与えます。
短尺フォーマットでは、数回のクリック後にユーザーがストアへ誘導されるのに対し、長尺プレイアブル広告では、ゲームプレイに完全に没入し、チャレンジやレベルをクリアする寸前のタイミングでダウンロードを促します。レベル進行、メカニクスの組み合わせ、多様なゲーム機能の提示などによる再エンゲージメントが、ユーザーの継続的な関与を維持する鍵となります。また、AIを活用することで、多様なコンセプトを生成し、長尺フォーマット全体を通じてユーザー体験を魅力的に保つことが可能になります。
2025年のさらなるインサイトにご興味がありますか?本ブログシリーズの第1部では、業界のリーダーが2025年のモバイルゲームトレンドについて語っています。是非ご覧ください。