Whitepaper

Pixyz で 3D データを Unity Industry に取り込む

Apr 29, 2024
Pixyz でリアルタイム 3D の複合データを最適化する
概要
リアルタイム 3D アプリケーションにおける Pixyz データの取り込みプロセスについて説明します。
協力者
Frantz Lasorne 氏(Visionaries 777)| Scott Montgomerie 氏(Scope AR)| Mark Schoennagel(Unity) | Matt Sutton(Unity)
ソリューション
Pixyz Plugin | Unity Industry | Pixyz Scenario Processor | Pixyz Studio
ユースケース
没入型トレーニング | 革新的な顧客体験 | インタラクティブな共同作業

没入型体験のために Unity Industry と Pixyz を活用して 3D データを取り込む

Unity が委託した engineering.com のホワイトペーパー「リアルタイム 3D のために CAD データを読み込み、使用する」のコピーを取得しましょう。

はじめに:なぜリアルタイム 3D なのか?

Industry 4.0 の利点を最大限に活用し、市場での競争力を維持するために、リアルタイム 3D に注目する製造メーカーが増えています。製品設計から工場フロアの最適化、トレーニング、マーケティングなど、ワークフローのあらゆる段階で、3D は不可欠な技術となりつつあります。

Unity のような主要なリアルタイム 3D 開発プラットフォームが、ゲームコミュニティを起源とするのは、驚くことではありません。入力にリアルタイムで適応するダイナミックな 3D 環境とのインタラクションが生み出す没入体験は、ゲーマーと同様にエンジニアにとっても有用であり、エンジニアにとっては、市場に投入する実際の製品を開発できるという利点もあります。

リアルタイム 3D アプリケーションの開発は、製造メーカーに現実的な利益をもたらします。これには、研究開発期間の短縮、高コストな物理的プロトタイプへの依存の低減、生産サイクルの初期段階における設計上の欠陥の検出および修正、シミュレートされた環境における自動システムのトレーニングの有効化、より効果的な作業者研修ソリューションの開発、顧客とより効果的な連携、などがあります。

幸いなことに、多くの製造メーカーは、想像よりも容易にリアルタイム 3D を業務に組み込むことができます。製造メーカーは、没入感のある魅力的でインタラクティブなリアルタイム 3D 体験の実現に必要なデータの多くを、既存の CAD(コンピュータ支援設計)ファイルとして既に持っています。データ最適化のための Pixyz と、リアルタイム 3D アプリケーション開発のための Unity プラットフォームを含む、Unity Industry のソフトウェアパッケージは、CAD ファイル内の豊富で洗練されたデータを統合し、インタラクティブで直感的な方法で表示することができます。

このホワイトペーパーは、リアルタイム 3D を活用して革新的な新しい方法で CAD データを再利用することで、どのようにエンジニアと製造メーカーに利益をもたらすかを説明しています。適切なソフトウェアがデータ統合における課題をどのように解決し、トレーニングや共同業務、デジタルマーケティングにおいて、CAD データがどのようにリアルタイム 3D アプリケーションを実現できるかについて、詳細に記述しています。

リアルタイム 3D のために CAD データを取り込む

エンジニアは既にビジュアライゼーションツールとして CAD 技術を使用しています。Catia や SolidWorks、Fusion 360 のような設計アプリケーションは、製造メーカーが実際のコンポーネントの、詳細で正確かつ複雑な 3 次元のデザインを作成することを可能にする、非常に高性能なソフトウェア製品です。データが豊富なこれらの設計ファイルは、製品を作成するために、CNC マシンや 3D プリンターなどの製造業向けツールで使用されることが想定されています。

しかし、CAD ツールで取り扱われるデータの精密さは、リアルタイム 3D アプリケーションで扱うには複雑すぎる場合があります。CAD モデルは、より芸術性を重視したモデルとは対照的に、非常に詳細かつ複雑でデータが豊富なため、最適化をしない限り、リアルタイム 3D 環境のパフォーマンスを損なうことなくスムーズにレンダリングすることは不可能です。リアルタイム 3D プラットフォームは、通常、複雑さや詳細さよりも、敏捷性や素早い反応時間を重視した体験を生み出します。

しかし、だからといって、製造メーカーがリアルタイム 3D アプリケーションを開発する際、一から始めなければならないというわけではありません。むしろその逆です。既存の CAD ファイルは、インパクトのある 3D 体験を生み出すために再利用できる豊富なデータのリポジトリです。そのデータを有効に活用する鍵は、CAD データを取り込み、リアルタイム環境で使用できるように最適化することです。このプロセスにより、複雑な 3D モデルを、スマートフォンからバーチャルリアリティ(AR & VR)ヘッドセットに至るまで、あらゆるコンピューティングデバイスや機能に適した軽量なデータに変換できます。

適切なツールがなければ、CAD データをリアルタイム 3D で使用可能なデータに最適化することは、手間のかかる複雑なプロセスとなってしまうでしょう。例えば、リアルタイム 3D の精度と敏捷性の理想的なバランスを取るために、デザイナーは手作業で頂点をマージし、面を削除し、モデルの様相を再作成しなければなりません。しかし、製造メーカーは、Pixyz のようなデータ最適化ツールを採用することで、より簡単にこのバランスを達成することが可能です。Pixyz は、CAD モデルをインポートし、リアルタイム 3D アプリケーションの精度と品質を維持しながら、その複雑さ、密度、ファイルサイズを削減できる専用ツールを備えています。

Pixyz は、CAD ファイルからパラメトリックサーフェス(NURBS)データを取り込み、Unity や他のリアルタイム 3D プラットフォームで使用されるポリゴンメッシュデータに変換します。

Unity のテクニカルマーケティングマネージャーである Mark Schoennagel は、engineering.com で「Pixyz は、NURBS データをポリゴンに変換するのに最適なツールです。ゲームエンジンは常にポリゴンを扱ってきましたが、同時に CAD は常に製造メーカー向けに限りなく滑らかな表面を作成することに取り組んできました。この 2 つはまったく異なる分野ですが、Pixyz の優れている点はこれら 2 つの分野の架け橋となっていることです」と語っています。

Pixyz は、SolidWorks、Revit、Creo、NX などの最も一般的な設計アプリケーションを含む、40 近い CAD ファイル形式をサポートしています。Pixyz 独自の CAD モデル最適化アルゴリズムは、テクスチャ付きプロキシメッシュを生成し、リアルタイム 3D 体験に表示されない隠れたメッシュを削除し、変換中にメッシュをマージして修復することができます。さらに、詳細さとそれに伴うポリゴン数は、手動で調整または自動で最適化が可能です。

「私は、製造メーカーやエンジニアが Pixyz をワークフローに取り入れることを強く勧めています。Pixyz は、さまざまなユースケースに合わせて、異なる品質レベルのテッセレーションデータを生成することができます」と Frantz Lasorne 氏は engineering.com で語っています。

Lasorne 氏は、エクステンデッドリアリティ(XR)技術で消費者体験を向上させることを専門とする企業、Visionaries 777 の共同設立者であり、もうひとつの利点として、「このアプローチを取ると、外部ベンダーとのテッセレーションデータの共有が簡素化され、機密性の高い CAD データを提供する必要がなくなる」と説明しています。

このように最適化されたモデルは多くのシナリオで非常に有益ですが、Unity のようなビジュアライゼーションエンジンに取り込むと、その効果は飛躍的に向上します。Unity では、これらのモデルは、技術的な面を表現するデータから、製品の魅力的なビジュアライゼーションや、アプリケーションとして開発され、さまざまなユースケースに展開できるシーンへと変換されます。

リアルタイム 3D:さまざまな業界のゲームチェンジャー

リアルタイム 3D アプリケーションは、さまざまな業界のエンジニアや製造メーカーにとって非常に有益なものとなっています。以下のユースケースは、トレーニングやガイダンスの強化、リモートワーカーのための共同作業ツールとしての機能、インタラクティブな製品コンフィギュレーターによるマーケティングの変革など、この技術がどのように利用できるかを説明しています。

トレーニングとガイダンス

「目の前に提示された情報を、コンテキストに即した形で視覚的に見ることは、特定のタスクを通して学んだり、指導を受けたりするのに最適な方法である」と Scope AR の CEO、Scott Montgomerie 氏は engineering.com で語っています。Scope AR は、航空宇宙産業や防衛産業などのトレーニング、製造、メンテナンスのユースケース向けに、スケーラブルでエンタープライズ対応の拡張現実(AR)コンテンツ作成ソリューションを提供しています。

Pixyz は、Scope AR がカスタマイズされた手順を作成するために、3D モデルへの組み込みが可能なトレーニングとガイダンスのコンテンツを構築する上で必要不可欠なツールです。そのコンテンツはクラウドにアップロードされ、携帯電話やタブレット、ヘッドセットなど、さまざまなデバイスにダウンロードして利用することができます。

Scope AR の例 - Pixyz Plugin で 3D データを Unity に取り込む
Scope AR の Worklink プラットフォームでは、製造メーカーは Pixyz を使用してカスタマイズされたトレーニング、製造、メンテナンスコンテンツを開発できる。(画像:Scope AR)

「ほぼすべてのメーカーは、作業者向けに作業の工程を示した紙の説明書を持っています」と Montgomerie 氏は言います。「しかし、指示を読んでから実行するまでの短い時間でも、人はミスを犯します。指示を誤解したり、手順を忘れてしまうこともあります。作業者がタスクを実行する際に、これらの指示が完全に 3D となって目の前に現れれば、このようなミスをなくし、タスクを正確かつ効率的に遂行する能力を向上させることができるでしょう」

世界最大級の建設企業である Skanska 社は、作業者が動的で不測のリスクをより認識できるような、安全トレーニングプログラムを開発するために、Unity に注目しました。目標は、事故を減らし、建設現場をより安全にすること。

リアルタイム 3D を使えば、作業者を実際に危険な状況に置くことなく、シミュレートされた環境の中で「危険にさらす」ことができます。このようなトレーニングは、同じシナリオについて会議室で話し合うよりも、積極的な行動変容を引き起こすのにはるかに効果的です。Skanska 社は OutHere と協力し、作業者がリアルタイムで正しい決断を迫られる状況に置かれ、その決断の正否にかかわらず、その結果を体験できるような仮想シナリオを設計しました。このようなバーチャルトレーニングは、実際に危険にさらすことなく、事故が起こりそうだという現実的な感覚を与えて、作業者の感情を刺激することに成功しました。

リアルタイム 3D が共同作業を促進する方法

リアルタイム 3D 技術の最も注目される用途のひとつに XR 体験の開発があります。エンジニアやデザイナーは、バーチャルのデザインレビューやリモートチームによる共同作業のために、このユースケースを採用し始めています。

Unity のようなリアルタイム 3D プラットフォームを使用すると、離れた場所にいる作業者同士が、さらに別の場所で製造された部品の内部を同時に見ることができます。例えば、共通のバーチャル空間にある 3D モデルのタービンの中を一緒に見ながら、問題を解決することができるでしょう。

Unity では、プラットフォームがデータアクセスの民主化にどのようにつながったかを目撃してきました。通常は数人のパワーユーザーに制限されるような情報を、より多くの人が閲覧できるようになってきたのです。そして、利用が増えるほど、共通のバーチャル空間におけるリアルタイムでの共同作業を行う機会も増えるでしょう。

Unity のソリューションエンジニアリングのマネージャーである Matthew Sutton は engineering.com で次のように語っています。「現状、CAD データにアクセスするには、それなりに優れた CAD 向け PC を持っている人に頼る必要があります。Unity は企業にいるあらゆるユーザーが CAD データにアクセスし、コンテキストに沿った形でデータを見ることを可能にします」

LiDAR と CAD を含む 3D データで作成されたバンクーバー国際空港のデジタルツイン
バンクーバー国際空港のデジタルツインには、LiDAR や CAD 図面を含むさまざまなソースからインポートされたデータが使用されている。

運営に関わる全分野のスタッフが協力してデータを分析できるようにすることをひとつの理由に、バンクーバー空港局は Unity と協力し、北米にある空港として最初のリアルタイム 3D デジタルツインを作成しました。

バンクーバー国際空港(YVR)はこのデジタルツインを活用することで、現在と過去のデータを取り込み、重要な情報を 2D と 3D の両方の環境でリアルタイムに表示することができます。デジタルツインと統合された状況認識ツールにより、スタッフは空港の複雑な運営をよりよく理解できるようになりました。このツールは、データの異常から潜在的なセキュリティ状況、乗客の動き、天候、二酸化炭素排出量まで、あらゆるデータを追跡できます。

その結果、スタッフはデータに基づいた意思決定を行い、セキュリティから小売、輸送、カスタマーサービスまで、職務や空港の広い業務範囲にわたって、より効果的に協力できるようになりました。空港スタッフは、リアルタイムで変化する状況認識を高めることで、ダイナミックな状況に対応できるのです。

没入型マーケティングのためのリアルタイム製品コンフィギュレーター

リアルタイム 3D は、製造メーカーが顧客とやり取りする方法に新たなオプションを提供し、企業が革新的な方法で製品を販売し、消費者が購入品をカスタマイズする際の選択肢を増やします。

「複雑なエンジニアリングに焦点を当てた実世界のデータを用いて、製品を販売するためにこれを視覚化する」と Schoennagel は言います。「そこで出番となるのが Unity です。私たちは建物の物理的な特性には関心がなく、興味を持っているのは、ポリゴンをリアルに見せることで、複数の異なる環境で建物を宣伝できるようにすることです」

その例として、Unity は農業機械メーカーの AGCO と協力し、農家が購買経験を自己指導できるようにする製品コンフィギュレーターである 3D 製品アドバイザーを開発し、これは数々の賞を受賞しました。農家は、ステップごとのインタラクティブな体験を通じて、重点を置く農業の分野、土地の種類や広さ、その他の関連要因など、自分たちのニーズを特定するための意思決定プロセスに誘導されます。そして、製品アドバイザーが製品を推薦し、農家はすぐに注文できる 3D バーチャル機械を構築することができます。農家は機械をバーチャルの農業環境に置くことができ、さらには、機械の性能データの追跡や、販売後のサポート提供が可能なデジタルツインを作成することができます。

「1 台のトラクターは 800 個の STEP ファイルで構成され、それぞれに数千個の部品が含まれている」と Schoennagel は語ります。「Unity は、Pixyz Scenario Processor ですべてのファイルを変換し、複雑で重い CAD データから、エンジニアがそこに残していく建設ラインやさまざまな平面などの多くのデータをスマートに取り除くことに成功しました」

残りのデータは、コンフィギュレーターのようなアプリで使用するために最適化されます。アプリによりそのデータの 70~80% が顧客が使用するために自動化され、残りのデータは Unity により精製されます。

世界的なインテリジェントモビリティソリューションのサプライヤーである Brose グループも、Unity を活用してコンテンツ制作とマーケティング活動の効率化を行っています。

Brose はリアルタイム 3D の専門企業である Visoric 社と協力し、260 種類以上の製品を含む同社の総合カタログをリアルタイム 3D 環境に移行しました。これには、Catia で作成された CAD ファイルが含まれ、さらに Pixyz と他のソフトウェアとの組み合わせにより、設定可能なリアルタイムの 3D アセットへと変換されました。

全製品のライブラリを Unity プラットフォームに持つことで、Brose はマーケティングや販売の目的で、これらのアセットを迅速に展開することができます。Brose のバーチャルショールームでは、車両部品などの製品を詳しく調べたり、車両全体との関連性を確認したりすることができます。

「すべての有名ブランドがデジタルの製品ポートフォリオを公開し、ユーザーがウェブページ上でリアルタイム 3D として体験できるようになる日もそう遠くはないだろう」と Visionaries 777 の Lasorne 氏は予測を述べています。

まとめ:リアルタイム 3D の活用を始める

自社のデータを視覚化し、これまでにない形で顧客と関わるための革新的な方法を求めているエンジニアや製造メーカーにとって、リアルタイム 3D はこの上なく魅力的な技術です。これらの企業は、簡単に利用できるツールと既存の CAD モデルのライブラリを使用して、リアルタイム 3D アプリケーションを迅速に開発し、製品設計や共同作業、トレーニングやガイダンス、マーケティングなどで活用する方法を探ることができます。

Sutton は、興味を持ったエンジニアがいれば、Unity と Pixyz をダウンロードし、既に馴染みのある既存の CAD 製品で始めてみることを勧めています。「CAD データの一部を読み込み、シーンに配置し、いろんな角度から見てみると、どんなに簡単かがわかるでしょう」それでも少し抵抗を感じている新規ユーザーは、Unity が提供する豊富な学習コンテンツを利用することができます。

リアルタイム 3D が急速に普及し、競争上の差別化要因になりつつある今、エンジニアにとっては、こうした最初の一歩を早急に踏み出すことが得策と言えるでしょう。最近発表された Apple Vision Pro を例に挙げましょう。これは、デジタルコンテンツとユーザーの物理的空間とのシームレスな融合を実現する空間コンピューターです。先日 Unity は、visionOS へのサポートの開始を発表し、これには開発者向けのテンプレート、サンプル、その他のリソースが含まれます。これは、リアルタイム 3D のために作られた、現在および今後の無数のデバイスのひとつに過ぎません。

エンジニアは元来 3D ビジュアライザーですが、リアルタイム 3D を活用することで、彼らのメンタルモデルは強化され、同僚やクライアント、そして一般の人々とのコミュニケーションをより円滑に行うことが可能になるでしょう。

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