2024 年度「Unity for Humanity Grant」補助金受賞者の紹介

約 500 のプロジェクトの審査を終え、2024 年度 Unity for Humanity 助成金の受賞者を発表できることを嬉しく思います。今年の助成金を受け取ったすべてのクリエイターは、リアルタイム 3D を駆使しながら、Unity のソーシャルインパクトミッションを体現する真に革新的な方法で変化を促進しています。
プロジェクトは、ビジョン、影響、包括性、そして実行可能性に基づいて審査されました。受賞者は、プロジェクトの実現支援のため、総額 50 万米ドルから授与される特別な助成金と、Unity のテクニカルサポートを受け取ることができます。
ゲスト審査員として、マルチプラチナシンガーソングライターであり、New York Timesベストセラー作家、メンタルヘルスパイオニア、そして Inspiring Children Foundation(ICF)および Innerworld の共同設立者でもある Jewel 氏が、今年の Unity for Humanity キャンペーンを支え、応募者や今年の受賞者および注目作品の選考の審査に携わりました。
22 年以上にわたり、Inspiring Children Foundation (ICF) は、身体的、社会的、感情的、精神的な健康に対する全人間的なアプローチを通じて、恵まれない若者達の人生を変えてきました。
ICF の無料オンラインメンタルヘルスツールキット、および JewelNeverBroken.com(無料のオンラインコミュニティとカリキュラム)は、メンタルヘルス行動に関するリソースやツールと、最高クラスのピアサポートプログラムを統合しています。信頼と実績を誇るこれらのツールは、メタバースベースのメンタルヘルスプラットフォーム、Innerworld の基盤となっています。ICF と Innerworld の両社は、数え切れないほどの若者たちが有意義なつながりを築き、マインドフルネスを学び、自己効力感を高めて、癒され、成長し、輝くための後押しをしてきました。
当社は、 ICF と共同で、ウェルネスツールを必要としている人々に広く無料公開するというミッションに取り組めることを嬉しく思っています。詳細は、ICF のメンタルフィットネスライブラリと Jewel Never Broken をご覧ください。

Akiiwan: Survival
Little Buffalo Studios
Akiiwan: Survival』は、世界中の先住民コミュニティによって作られたクラフト/サバイバルゲームです。プレイヤーは、先住民の工芸品や道具、サバイバルスキルを通して、先住民族の物語や知恵を発見していきます。資源を際限なく搾取せずに、バランスを取りながらゲームをクリアすることで、このジャンルに「先住民らしさ」を取り戻しつつ、さらに先住民族の技術や知識の誇りを取り戻すことを目指しています。「Akiiwan(アキイワン)」とは、アニシナベ族の言葉で「地球である」という意味です。プレイヤーはゲームプレイを通して、「私たちは他のすべてのものと共生している」ということを学びます。

Crab God: Mother of the Tide
Chaos Theory Games
『Crab God』は、海洋保護と気候変動に対してポジティブな影響を与えることを目的としたエンターテインメントゲームです。プレイヤーは、グレートバリアリーフからマリアナ海溝まで、カニの赤ちゃん(子ガニ)を率いながら大海原を移動する巨大なカニとしてプレイします。プレイヤーは、彼らの旅を支える健全な生態系を促進し、子ガニ達が生き残るための手助けをしなくてはなりません。
Chaos Theory は、すでにスコープ 1 と スコープ 2 の排出量を相殺しており、カーボンニュートラルなゲーム制作を実現しています。『Crab God』は、プレイヤーの活動に伴う排出量もすべて相殺するため、真に環境に優しいゲームとなっています。

Eddie and I
Moosh Studio
インタラクティブなストーリーテリングとハンドトラッキング技術を融合させた『Eddie and I』は、手話を教え、共感を促す VR 体験です。VR 環境で学んだ手話を通して、ユーザーに、聴覚障がいを持つ少年とのコミュニケーションを促します。この体験は、ユーザーに新たな視点を与えると共に、コミュニケーションの力、勇気、多様性を強調し、デジタル世界と現実世界をつなぐ役割を果たします。このプロジェクトは、聴覚障がいを持つ、監督の 10 歳の姪からインスピレーションを得ており、VR 体験に深みとリアリティを与えています。
物語は、初めてのキャンプを怖がる、8 歳の聴覚障がいを持つ少年、ロンを中心に語られます。ロンの母親が語るフレンドリーな青いモンスター「キャンパーのエディ」の物語が、ロンを幻想的な森の冒険へと誘い、ユーザーはエディを操作することになります。この 25 分間の旅の中で、ユーザーとロンはさまざまなタスクを協力してこなし、手話を学びながら課題を解決していきます。

MAYA: The Birth of A Superhero
Just Another Production Company
『MAYA: The Birth of a Superhero』は、21 世紀を生きるごく普通の少女マヤが、月経を力に変えるユニークな女性スーパーヒーローに変身するという内容の没入型ストーリーです。この作品は、アクティビズムを体現したものと言えます。プレイヤーは、現実と魔法の世界の旅に積極的に参加することになります。自身の中に強さと魔法を見出さなければなりません。トラウマから、自己愛と連帯に根付いた力が生まれます。
スピリチュアルで女性的なパワーを表す古代のシンボルを使用しながら、女性らしさと女性性のオデッセイを描くこの作品は、現実と想像を結びつけ、レジリエンスと正義へとつながる道をたどります。

Surgeons without Borders
シンシナティ小児病院医療センター
Surgical Mediverse と VR3S プラットフォームは、Unity ベースの VR ゲームネットワークの力でグローバルコラボレーションを可能にし、医療成果を向上させると共に、先進医療技術への平等な世界的アクセスを実現することを目的としています。
このプロジェクトの目標は、乳幼児の先天性心疾患(CHD)による死亡率を低下させ、それにより乳幼児の死亡率全体を低下させることです。米国では、高度な手術技術により CHD 死亡率は 50% 以上低下しました。しかし、手術の成功は依然として外科医の経験に左右されます。『Surgeons Without Borders』は、経験が特に限られている低所得国(LMICs)における死亡率の改善に重点を置いています。バーチャルリアリティ(VR)は、費用対効果の高い手術計画ツールとして登場し、世界中で大幅な改善をもたらす可能性を秘めています。シンシナティ小児病院医療センターのチームは、詳細な 3D 手術計画を可能にする VR 手術シミュレーションスイート(VR3S)を開発しました。このツールには、いつの日かすべての子供達の命を救うために、世界中の外科医を繋げるマルチユーザー機能が備わっております。

The Arctic Lighthouse
Platô Cultural & The Necessary Space
『The Arctic Lighthouse』は環境変動に関する AR ゲームで、持続可能な未来へのポータルを守るというミッションのもと、世界中の若いチェンジメーカー達を繋げます。物理ベースのインタラクションと 3D シナリオを特徴とするこのゲームの中で、プレイヤーは崩壊した未来からやって来た科学者と出会い、共に未来を書き換えて地球を救うミッションに参加します。プレイヤーは、課題を解決するため 2073 年の「北極の灯台」を度々訪れ、持続可能な未来につながるポータルを発見して、現在に「再統合」することを目指します。

The Light Within
Pomsky Games
『The Light Within』はメンタルヘルスに焦点を当てたモバイルアドベンチャーゲームで、バイレイシャルの主人公とクィアのキャラクターが登場します。『The Light Within』は物語ベースのゲームで、暴力を伴わない謎解きのメカニクスや、現実世界で使用されているメンタルヘルスケアツールを取り入れています。ゲームの進行を通して、主人公のエリンは自分の内なる世界や、さまざまなメンタルヘルスの問題を表す多くのサブパーソナリティを勇敢に探求し、最終的にはそのすべてを受け入れます。
呼吸法、セルフコンパッション、マインドフルネスなど、プレイヤーは現実世界で採用されているメンタルヘルステクニックを使用してゲーム内の課題を解決する必要があります。

YourHaven
Haven Studios
『YourHaven』では、若者が暴力の減少と雇用される能力やウェルビーイングの向上を目的とした、没入型でスケーラブルなメンタルヘルスおよびウェルビーイングに関するサポートをデザインできます。Haven Engine を使用して、不安の軽減からトラウマの克服、ディエスカレーションまで、あらゆるトピックに焦点を当てたセッションを共同作成することができます。セッションはパーソナライズ可能で、一度に接続可能な人数に限りはなく、すべての言語で利用可能です。
Haven は、Art Against Knives や Milk & Honey といった受賞歴のある慈善団体と協力し、若者が本当に自身のためになるメンタルヘルスサービスをデザインできるよう取り組んでいます。一連のワークショップを通じて、アイデア出しからリリースまで行い、VR 開発や製品管理スキルを学ぶほか、さらに重要なこととして、若者の不安を軽減し、暴力を緩和し、辛い経験をした後の成長を助ける、インタラクティブでパーソナライズされたセラピーセッションの構築にも取り組みます。

BetaBEN
Benvision Inc.
『BetaBEN』は視覚障がい者の生活に前向きな変化をもたらすきっかけとなるでしょう。このプロジェクトは、視覚障がい者の環境認識およびナビゲーション方法を変革することで、前例のないレベルの自立度と移動能力を提供することに焦点を置いています。

Waves of Jeju
Old Hara Studios LLC
『Waves of Jeju』は、環境正義と気候ソリューションに関してプレイヤーの認識を高め、異文化への認識と癒しを促進する VR ゲームです。ストーリーは、韓国の珍島犬の子犬と海女の視点から描かれており、彼らがさまざまな問題に直面しつつも、打たれ強いコミュニティのおかげで、未来の世代が住める世界に対して希望を持つ様子を表現しています。
今年の受賞者および注目の作品に選出された皆さん、おめでとうございます。今後、より多くのプロジェクトをご紹介できることを楽しみにしています。ソーシャルインパクトクリエイターの方は、Unity for Humanity Community Discord に参加して、同じ志を持つクリエイターと出会いましょう。これから応募したいプロジェクトがある方は、ソーシャルインパクトメーリングリストに登録しておくと、来年の助成金の募集開始時期について最新情報を受け取ることができます。