Unityがアプリ内入札へ完全移行する理由

2024年、アプリ内入札はモバイル広告の収益化における主流となり、長らく使用されてきた「ウォーターフォール型」メディエーション手法に取って代わる新時代が幕を開けました。Unity Ads、ironSource Ads、そしてLevelPlayは、この入札の新時代にグローバルかつ多機能なチームの協力のもとで参画しました。
その結果、広告主はより多くのインプレッションを獲得し、パブリッシャーは運用を効率化し、ユーザーはより高速な広告の読み込み時間による快適なアプリ体験を享受できるようになりました。本ブログでは、入札方式への完全移行がパブリッシャーや広告ネットワークにとって重要な理由、そして2025年に向けたUnity AdsとironSource Adsの入札戦略について説明します。
アプリ内入札がパブリッシャーにもたらすメリット
アプリ内入札の基本概念は非常にシンプルです。「すべての広告ネットワークが競争し、最高額を提示したネットワークが勝ち、その価格をパブリッシャーに支払う」というものです。しかし、これまでの10年以上にわたり、業界は「ウォーターフォール型」オークションの概念に固執してきました。ウォーターフォール方式では価格は高い順に設定され、入札がなければ徐々に価格が下がっていきます。
例えば、最初に$100からスタートし、最上位の3つの広告ネットワークだけにオークションへの参加が許可されるとします。もしこの3つのネットワークが応じなければ、価格は$50に下がり、さらにいくつかのネットワークが加わります。このプロセスが1回の広告インプレッションごとに最大100回も繰り返されることがあります。これは非常に時間がかかり、複雑で、不透明な仕組みです。
一方で、アプリ内入札は、最初の価格で入札が決まり、数秒でオークションが完了するため、最適な価格を素早く決定することができます。
さらに、広告ネットワークは従来通りSDKを利用しながらも、入札プロセスはサーバー側で実行されます。以下がその仕組みです。
- リクエストの認証:不正防止のため、各ネットワークのSDKがクライアント側で「トークン」を取得します。
- 入札の実施:サーバー側で各入札者に対し、一定の時間内に入札額と広告コンテンツを提出するよう求めます。最高額の入札者が決まると、勝者と敗者に通知が送られます。
- 広告の表示:メディエーションが勝者の広告をSDKにロードし、ユーザーに広告を表示する準備を整えます。
これにより処理の負荷が削減され、パブリッシャーは各ユーザーの正確な価値をリアルタイムで把握できるようになります。広告ネットワークは最適なオファーで自由に競争できるため、パブリッシャーは常にプレミアムユーザーに対する公正な市場価格を得ることができます。その結果、パブリッシャーは複雑なオークション管理に費やす時間を削減し、より多くの広告ネットワークが勝利する機会を得られることで、競争が活性化し、CPM(1,000回表示あたりの収益)が向上します。
アプリ内入札がUnityの広告ネットワークにもたらすメリット
アプリ内入札のメリットはパブリッシャーだけのものではありません。Unity AdsとironSource Adsのネットワークも、アプリのインストール規模を大幅に向上させることに成功しました。これは主に以下の2つの理由によります。
- 公平な競争環境:アプリ内入札により、Unity AdsとironSource Adsはすべてのユーザーに対して平等な競争の機会を得られるようになりました。以前は、パブリッシャーがオークションの価格ポイントを制限して設定しており、その設定がフォーマットや地域、ネットワークごとに一貫していないことがありました。さらに、特定のネットワークが優先されるケースもありました。
- 機械学習の効率向上:入札により広告配信プロセスの効率が向上し、Unityの機械学習モデルに対してコストを抑えながら高品質なデータを提供できます。その結果、現在の高度なディープラーニングモデルは、より正確なリアルタイムの意思決定を行うことが可能になります。このサイクルが広告主のパフォーマンスを向上させ、それが最終的にパブリッシャーの収益向上にもつながります。
アプリ内入札への完全移行と今後の展開
2024年、Unity Adsは広告配信システム全体を再構築し、パブリッシャー向けに入札の可能性を最大限に引き出しました。加えて、UnityのLevelPlayメディエーションとironSource Adsも100%入札に向けて大きく前進しました。この取り組みでは、パブリッシャーや主要な広告ネットワークと協力し、業界全体の成長を促進しました。
Unity Adsは2025年内に入札制へ完全移行する計画を立てています。まず、特定の外部メディエーションで完全入札を開始し、2月4日からGoogle AdMobとGoogle Ad Manager向けのオープンベータを開始しました。その後、ウォーターフォール方式を廃止し、入札最適化されたv5 SDKアーキテクチャを導入する予定です。
また、LevelPlayメディエーションは新たな入札対応の広告ネットワークを統合し、複数の広告フォーマットの展開を完了する予定です。既存のウォーターフォール統合のサポートも維持しつつ、パブリッシャーやネットワークと協力しながら入札への移行を進めます。
総じて、アプリ内入札によって最適な広告在庫と機械学習用のデータが確保されることで、2025年にはモバイル広告エコシステム全体がさらなる効率化と成長を遂げることになるでしょう。