Ghost of a Tale

制作者: SeithCG
The studio
Seith 氏とネズミの巣穴を下る

Lionel "Seith" Gallat 氏は、彼にとって初めてのゲームプロジェクトである『Ghost of a Tale』を手がけるまで、モーションピクチャーアニメーターとして輝かしい実績を積んでいました。駆け出しのアニメーターとして初めて制作に参加した『プリンス・オブ・エジプト』(1998 年)では、モーゼのアニメーションを担当しました。その後、Seith 氏は『エル・ドラド 黄金の都』『シャーク・テイル』『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』をはじめとする数々の話題作に参加し、アニメーションディレクターとしてのキャリアを『怪盗グルーの月泥棒』『ロラックスおじさんの秘密の種』の両作品で締めくくっています。

80 年代から 90 年代にかけてゲームに興じながら成長した Seith 氏は、大きなスタジオでの生活を離れて、若かりし頃にゲームを通じて感じていた不思議な驚きや冒険心を取り戻して、その体験を新世代のプレイヤーと共有したいと考えました。

Seith 氏がアニメーターとして過ごした時間は、ゲーム開発に進出するにあたってアートとテクノロジーに関する十分な素養を培う期間でもありました。Seith 氏は一人親方よろしく、開発ツール、ストーリー、クエスト、オリジナルサウンドと効果音については必要に応じて才能豊かな知り合いの力を借りつつ、ほぼ 9 割の作業を自分でこなしています。

The project
中世風の吟遊詩人が繰り広げる幻想的な旅

『Ghost of a Tale』の制作には 4 年以上かかっていますが、いたずらに時間が費やされたわけではありません。ゲームのキャラクターデザイン、アニメーション、世界観は、細部に至るまで見事に作り込まれています。既に Steam、GOG Connect、Xbox One で先行リリースされているこのゲームは、「the War of the Green Flame(緑の炎戦争)」と呼ばれる破滅的な出来事で廃墟と化してから数年後の、動物たちが暮らす幻想的な中世風の世界で繰り広げられるアクション RPG です。

このゲームは戦闘よりも没入感や探検感を重視しています。実際、戦闘は選択肢にすらありません。プレイヤーは、「Dwindling Heights Keep(とんがり屋根の天守)」と呼ばれるネズミの要塞にある独房で目を覚ました、勇敢な吟遊詩人のネズミ Tilo を操ります。ステルス能力、すばしっこい動き、変装、それから知恵を駆使しながら見張りをやり過ごしてクエストをクリアするゲームです。

『Ghost of a Tale』のトレーラーを見る
The reveal
ゲーム性は細部に宿る

Seith 氏の映画での輝かしい実績を反映して、『Ghost of a Tale』は、どこまでも細かく作り込まれ、場面が変わるたびに驚かされる、非常に洗練されたゲームに仕上がっています。IK リギング、テッセレーション、ダイナミックな草木など膨大な量のイマジネーションとデザインエフェクトが、愛らしい Tilo、擬人化された友達や敵、超リアルな植物に命を吹き込みます。

 

キャラクターを躍動させる IK リギング

手作業でアニメーション化した(モーションキャプチャは使われていません)キャラクターが小走りしたり、ダッシュしたり、跳ね回ったりするだけでなく、服やボディパーツをアニメーション化することでキャラクターの動きにリアルな重量感が生まれています。耳がぱたつき、しっぽが揺れ、ジャケットが跳ね上がる IK リギング(Asset Store で Final IK が提供)により、キャラクターが世界全体とつながっている感覚が得られます。「Dwindling Heights Keep(とんがり屋根の天守)」の住民が坂や階段を駆け上ったり駆け下りたりすると、ボディのウェイトが移動して環境の勾配に合わせて正確に反応します。こういった細かなことはゲーム中には気付かないことが多いですが、気付かないということは、細かなところまでしっかり作られている証拠でもあります。

Tilo's sphere of influence is finely tuned for collisions and animation.

Tilo's sphere of influence is finely tuned for collisions and animation.

テッセレーションを利用した自然な表現

テッセレーションを多用したこともあって、隅々までとても自然に表現されています。ここでは、Maya で作成した非常に情報の少ないボックスアウト済み環境メッシュから膨大な量の物理的細部を作成するために、テッセレーションが使用されています。Amplify Shader で実行されるテッセレーションシェーダーに含まれる深度マップに基づいてジオメトリを押し出すという、この方法で環境を作成するには、CPU ではなく GPU を使用して非常に高い詳細度の計算を行う必要があります。

Tessellation allows a huge amount of detail from low-density meshes.

Tessellation allows a huge amount of detail from low-density meshes.

この独特のテクニックは、でこぼこの岩のような自然物の表面を表現するのに向いています。これは、お城の石造部分、土や岩で作られた地下トンネルなど、ゲーム内の至るところで見ることができます。このシステムに適切な LOD を設定してカメラビューがごく近くに寄ったときだけ細部が押し出されるようにすれば、大量のリソースを節約することも可能です。

シンプルなボーンで動く草木

これらの環境(スクリーンショットやビデオをご覧ください)は、それだけでも美しいですが、どんなに素晴らしい場面でも、動きがないと少し味気なく感じてしまうこともあります。この問題を解決するために Seith 氏が考案した方法はいくつもありますが、そのうちの 1 つがキャラクターに触れられると動く、ダイナミックな草木です。これらの草木オブジェクトの枝や葉にはシンプルなボーン構造があり、アクターの一部(ボディパーツ、衣装、武器)が草木の衝突ポイントに接触すると、ボーン構造が適切に反応して動くようになっています。

Plant models are rigged with bones for dynamic movement.

Plant models are rigged with bones for dynamic movement.

コンピューティングリソースを節約するため、ほとんど同じアセットが 2 つ作成されています。1 つはボーンにリグ付けされ、もう 1 つはまったく動きません。アクターが近づいたときだけ、アセットは接触に備えてリグ付けされたバージョンのものに切り替わります。これにより、Tilo がいる世界のリアリティを失わずに、インタラクティブな草木の大半を低コストの静的な状態に保つことができます。

Unity のアーティストとデザイナー向けのツールが『Ghost of a Tale』の制作で活躍しています。

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