InnoGames – Unity 開発者のケーススタディ
有名なゲームを作り出して成功した開発者は、どのようにして広告コストを最適化し、同時に価値の高いユーザーを獲得し続けているのでしょうか。 InnoGames では、健全なユーザーベースを維持し、成長させるために、一貫して Unity Ads による広告を実施しています。 Unity Ads の強力な機能の 1 つ、Audience Pinpointer をユーザー獲得戦略に取り入れたことで、成果が大幅に改善すると同時に、質の高いユーザーを Unity Ads で継続的に獲得できる見込みが大きくなりました。
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プロジェクト
Unity Ad の Audience Pinpointer を使用した、ゲーマーレベルでの広告ターゲティングの実施
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目標
リテンション率の改善と ROAS の向上
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プラットフォーム
Android、iOS
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チームメンバー
エンジニア 12 人、アーティスト/デザイナー 9 人、サポート担当者 5 人
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場所
ドイツ、ハンブルク

Audience Pinpointer でユーザー獲得数を増やして ROAS を高める
『Forge of Empires』、『Elvenar』、『Warlords of Aternum』など、受賞歴のあるブラウザゲームとモバイルゲームを数多く揃えた InnoGames は、30 か国以上で合計 400 人を超える従業員を雇用し、現在 7 つのライブゲームを運営しています。App Store と Google Play での評価は、それぞれ 4.7 と 4.5 を維持しています。 ユーザー獲得(UA)戦略の最適化をさらに進め、広告の費用対効果(ROAS)の目標を達成するため、Audience Pinpointer を使ってゲーマーにリーチし、Day 7(D7)のリテンションを高い水準に維持しています。
その成果は以下のとおりです。
- D7 リテンション率が 20% 向上
- 広告費用を 1 年間に 60% 削減
- マーケティングマネージャーから求められる最適化の反復作業が減少

夜に生まれた InnoGames
Eike Klindworth 氏と Hendrik Klindworth 氏(兄弟)は 2003 年、友人の Michael Zillmer 氏と共に最初のブラウザゲーム『Tribal Wars』を制作しました。純粋に、長い冬の夜の娯楽用として開始されたゲームでしたが、新しい世界が追加されると、すぐに高い人気を博しました。 運営はフルタイム作業になり、2007 年にはハンブルクで InnoGames が設立されました。会社は安定して成長を続け、市場はますますモバイルゲーム優位になり、彼らはすべての新しいモバイルゲームタイトルを Unity で開発する決断を下しました。

『Warlords of Aternum』までの道のり
InnoGames は、2017 年に『Warlords』を Wooga Studio から獲得しました。彼らは Unity を使用してターン制ストラテジー(TBS)ゲーム『Warlords of Aternum』の開発を続け、大量のコンテンツアップデートや、戦闘バランスの最適化などを行ったのです。Unity の多くの機能が、開発の合理化とゲームの拡張に役立ちました。以下はその具体例です。
- C# AssetBundleGraphTool は、根気が必要なアセットのインポート作業やバンドル作業を減らし、エンジニアが簡単にワークフローを構築および自動化して、アセットの設定を視覚的に作成および変更できるようにする機能です。
- ライトマッピングは、『Warlords of Aternum』の複数シーンでのサーフェスの明るさを事前に計算し、後で利用するために結果をライトマップに保存できる機能です。
- ScriptableObject は、バトルのバランス調整のために UI/ゲームオブジェクトへの参照を保持する、シリアライズ可能な Unity クラスです。スクリプトインスタンスから独立した形で共有データを保存するので、変更やデバッグの管理が容易になります。
さらにパフォーマンスを高めるために、InnoGames では定期的にアセットキャッシュサーバー、ドローコールバッチング、エディタスクリプティング、そしてもちろん Unity プロファイラーを活用しています。
将来的な展望として、InnoGames チームは新しい Unity Data-Oriented Technology Stack(DOTS)コンポーネントの実装に特に期待しています。Entity Component System(ECS)、C# Job System、Burst コンパイラーといったコンポーネントを使うことで、開発者はモバイル端末でマルチコアプロセッサーを今まで以上に活用できます。
収益化とユーザー獲得のステップアップ
InnoGames が提供するゲームのほとんどは IAP のみを通じてマネタイズされており、Unity Ads チームが何年間にもわたってパートナーとして連携しているとはいえ、広告のマネタイズのための作業は増えています。 パフォーマンスネットワーク担当責任者の Sebastian Goldt 氏はこう言っています。「他の広告ソースに比べて、インプレッション単価とフィルレートが非常に優れています。また、Unity の専門のサポート、クライアントパートナー、広告運用のチームには特に感謝しています。彼らとの連携が大きな違いを生んでくれました」。
InnoGames の UA 戦略は多岐にわたり、テレビだけでなく Facebook、Google、Unity などの広告ネットワークでもキャンペーンを実施していました。 単一の広告ソースの依存を避けるため、数々のリアルタイム入札(RTB)やデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を試していたのです。 「Unity Ads では、いつも質の高いユーザーを獲得できています。 今では Audience Pinpointer を使って、獲得したユーザーの質をさらに向上させています。成果は目を見張るほどです」と、Sebastian 氏は続けます。 InnoGames で最初に Audience Pinpointer が適用されたのは『Warlords of Aternum』の UA キャンペーンのときであり、その際は Day 7 リテンションの高いゲーマーを重要視しました。
もっと細かいレベルでのターゲティング
Audience Pinpointer は、広告主の目標に基づく特定の価値をアプリのインストール後に発揮するであろうゲーマーを特定する、Unity Ads の機能です。 コホートレベルではなく個別のゲーマーに対するターゲティングが可能になるので、以下の要素の改善を期待できます。
- リテンション – 7 日以上ゲームをプレイする可能性がより高いゲーマーを獲得
- ROAS – ゲーム開始日から 7 日間の予測費用に基づいてゲーマーを獲得
広告リクエストがあった時点で、予測された D7 リテンションまたは ROAS に基づいて Unity の機械学習モデルがリアルタイムのゲーマー評価機能を使って、個別のゲーマーごとの入札について動的に判断します。 このシステムは、実際のゲーマーの行動と、Unity プラットフォーム全体の数百万ものゲーマーの環境設定に基づいて常にアップデートされます。
「Unity の Audience Pinpointer ソリューションを採用した結果、2018 年 1 月から 2019 年 1 月までの間に広告費用を 60% 削減できました」とパフォーマンスネットワーク担当責任者の Sebastian Goldt 氏は言います。 入札額は自動的に調整されるので、InnoGames は動的にアップデートされる CPI に基づいた支払いを行い、ROI を最大化できます。 InnoGames にとって重要な Audience Pinpointer 機能はもう 1 つあります。手動で設定する必要のある日常の最適化作業の数の削減です。 この機能により、マーケティングマネージャーはさらに多くの時間をクリエイティブなアプローチに集中させ、キャンペーンの質を改善できるようになります。

Unity コミュニティへの参加
ユーザー獲得だけでなく、人材獲得も、スタジオにとっては重要な課題です。InnoGames の場合、Unity ショップの一員になることで、ゲーム制作の即戦力となる Unity 開発者の潤沢なプールにアクセスできるようになりました。「Unity なら、新しいスタッフでも簡単にオンボーディングできます」と最高製品責任者の Armin Busen 氏は言います。InnoGames は社内で Unity トレーニングを実施しているほか、いくつかの Unity ミートアップを毎年開催しており、どちらも通常は 100 人が参加します。
Armin 氏はこう続けます。「Unity は、当社のすべてのモバイルゲームで採用しているリアルタイム開発プラットフォームです。『Warlords of Aternum』は、魅力的なストラテジーゲームの体験をモバイルに移せるという Unity の実力を示した好例です。」