『Wallace & Gromit』の初めての AR 進出
『Wallace & Gromit』を制作した Aardman Animations は、2 つの AR アプリでこの代表的なシリーズをデジタル世界に取り込む作業を Fictioneers に委託しました。1 作目のアプリ『The Big Fix Up』では、『Wallace & Gromit』の冒険をファンが自宅で楽しめるようになります。2 作目のアプリ『Fix Up the City』では、3 つの地域においてユーザーの周囲に都市スケールのユニークな体験を提供します。
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課題
『Wallace & Gromit』をデジタル世界に取り込み、新しいオーディエンスにリーチするための革新的な方法を見つけること
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プラットフォーム
iOS、Android
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チームメンバー
さまざまなパートナー組織や英国政府の 43 人の貢献者
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所在地
ブリストルとカーディフ(英国)、サンフランシスコ(米国)

成果
- 『The Big Fix Up』
- 90 分間に 197 のストーリーイベント
- ウェブサイトの訪問数が 150,000 以上
- 完了したストーリーのジョブが 500,000 以上
- 獲得したメディアでのヒット数が 420,000 以上
- 10 を超える業界賞を受賞
- 『Fix Up The City』
- AR ゲームプレイの 1,000 を超える実例
- NPS の評価が 92.5%
AR Foundation によるマルチプラットフォームサポートを利用
Fictioneers は、『The Big Fix Up』の制作時に、どのソフトウェアを使ったら、複数のプラットフォーム向けの迅速な開発を可能にし、ユーザーに好印象を与える品質の作品を提供できるかを考えていました。 AR Foundation は、iOS と Android 両方のアプリケーションに対応する 1 つのコードベースをチームが開発する際に役立ちました。このテクノロジーは、ARCore と ARKit の共有機能のラッパーの役割を果たす一方で、チームがプラットフォーム固有のコードを 1 行も書かずにプラットフォーム固有の機能(ARKit の People Occlusion など)を利用することを可能にしました。 カラーリングやシャドウに使用する現実世界のリフレクションやライトエスティメーションシステム用の AR 環境プローブは、『The Big Fix Up』の制作に使用した必要不可欠な AR 機能であり、仮想世界と現実世界をシームレスにブレンドしました。
Unity MARS でワークフローの高速化を実現
MARS の高度なワークフローは、Fictioneers の開発者が複雑な AI キャラクターの作成、テスト、イテレーションすべてを Unity エディター内で行うのに役立ちました。 Simulation ビューは、「Fix Up Your Space」機能の主軸となる部分でした。プレイヤーは、サンドボックススタイルのインタラクティブな環境に示されているように、ストーリーに出てくるウォレスの発明品や主要な小道具に近づくことができました。MARS では、システムが提供するセマンティックな理解のレイヤーが利用されているため、わずか数回のクリックで論理条件をコンテンツに組み込むことが可能になりました。 Unity MARS のおかげで、チームのプロトタイプやテストにかかる膨大な時間が短縮され、素晴らしい体験の制作により多くの時間を充てられるようになりました。

リビングルームから実物大にスケーリング
『Wallace & Gromit』の没入型 AR 体験を制作する過程では、多くの課題に直面しました。その中で最大の課題は、実物大の体験からテーブルトップ型の体験に変化させ、また元に戻すことでした。 Fictioneers は、視覚測位サービスを提供する Fantasmo と連携し、位置のスキャンから収集した密集したポイント クラウド データを使用して、現実世界のプレイスペースの詳細なモデルを再現しました。 スケールダウンしたモデルはその後、都市の鳥瞰図として使用されました。これにより、プレイヤーは、『The Big Fix Up』で AR を使用して自宅にいながらブリストルを体験できるようになりました。『Fix Up the City』の本格的なオクルージョンメッシュは、同じモデルをベースとして再利用して作成しました。
CG とゲーム内のビジュアルのバランスを取る
Fictioneers は、『Wallace & Gromit』のストップモーションアニメーションの素晴らしい点や魅力を『The Big Fix Up』に取り入れたいと考えていました。さらに、CG 動画とゲームプレイのバランスを取りたいとも考えていました。Unity のグラフィックスパイプラインとシネマティクス向けのツールのおかげで、必要な柔軟性は得られました。 Fictioneers は、カットシーンのシーケンスの作成とアニメーション化に HD レンダーパイプライン(HDRP)、Timeline、Unity Recorder、Cinemachine を組み合わせて利用しました。ゲーム内の AR シーンの作成には、ユニバーサルレンダーパイプライン(URP)で同じアニメーションワークフローを使用しました。チームは、ツールをこのように使用することで、アプリ内 AR ゲームプレイに使用したのと同じアセットやアニメーションで、解像度の高い映画品質の動画を制作しました。

Unity の DevOps と LiveOps でデプロイを効率化
Unity Dashboard で利用できるツールスイートは、『The Big Fix Up』と『Fix Up The City』両方の開発時に重要なコンポーネントでした。 たとえば、Fictioneers は、Cloud Build ツールを使って制作ブランチとテストブランチの両方から複数のプラットフォームを対象とした各種自動ビルドを DevOps スイートを使用して設定しました。その結果、詳細なレポート、単体テストの結果、ビルドのステータスが提供され、開発者は時間を大幅に節約できました。 LiveOps スイートの Remote Config ツールのおかげで、Fictioneers は、アトラクションを有効/無効にしたり、ボタンをクリックして重要な情報をユーザーに伝えたりできるようになりました。さらに、このツールの管理機能を使用すると、どの場所のどのユーザーグループに更新情報を送信するかを制御することもできました。そのため、このコンポーネントは、公共の場での群衆の流れを管理するのに不可欠になりました。

既存のネイティブアプリに AR を追加
チームは、Unity as a Library を活用することで、Unity アプリケーションを個々の iOS Xcode プロジェクトや Android Gradle プロジェクトとしてエクスポートし、それを既存のネイティブアプリケーションに埋め込むことができました。その結果、(Unity での)混合現実のコンテンツ開発と(ネイティブモバイルアプリでの)複雑な UI や従来のストーリーテリングが切り離されるため、ストーリーの迅速なイテレーションと検証が可能になりました。 チームは、シンプルなスクリプトを使って、Unity とネイティブアプリ間でメッセージを送受信できるため、シーンの管理に加え、ハイスコアの更新やアプリ内課金フローのトリガーなどを処理できるようになりました。Unity ランタイムをプログラムでロード/アンロードできるようになったことで、実際に、アプリのパフォーマンスを最大限に高めると同時に、サポートできるデバイスの数を増やすことができました。
『The Big Fix Up』と『Fix Up The City』をダウンロード
App Store または Google Play にアクセスして、仲間と初めての AR アドベンチャーに参加しましょう。
