泡の魔法

Unity を使ってアイデアを魅力的な 2D ゲームに昇華

Tiny Bubbles:2D ゲーム制作における Unity 活用のケーススタディ

インディーズゲームのベテラン開発者 Stu Denman 氏の祖父は、マンハッタン計画に参加し、その後は石鹸の泡の物理特性について研究した人物です。それから半世紀後、孫である Stu 氏は、祖父の泡の研究のことが頭から離れなくなっていました。寝ている間も、泡の夢を見るほどだったのです。しかし、そのようなアイデアの種を、面白くてやりごたえのある、洗練されたゲームへと具現化することはできるのでしょうか?

  • ゲーム

    Tiny BubblesPine Street Codeworks が開発した物理演算パズルゲーム。グラフィックスが美しく、数々の賞も受賞。

  • 目標

    パズルゲームの中で泡の自然な挙動を再現すること

  • プラットフォーム

    iOSAndroidPCMac、Linux

  • チームメンバーの人数

    2

  • 場所

    ワシントン州シアトル

Stu Denman, co-founder and developer at Pine Street Codeworks, explains why Unity was the perfect tool to help him realize his vision.

受賞歴のある美しい物理演算パズルゲーム

Stu Denman 氏には、さまざまな AAA スタジオでテクニカルディレクターを務め、30 名以上のゲーム開発者を擁するチームをいくつも統括してきた実績があります。あるとき、自らゲームを作りたいという思いを強く抱いた彼が目を付けたのが、豊富なツールを取り揃え、柔軟性にも優れた Unity でした。『Tiny Bubbles』は、160 を超えるステージが用意され、細部にわたってよく考えられたパズルゲームで、多くの人を魅了しています。

その成果は以下のとおりです。

  • アセットストアの優れたプラグインを使ってコストを大きく節約
  • ローカライゼションツールにより開発期間を何か月も短縮
  • Google Indie Festival、Intel Buzz(Best Overall PC Game)、Seattle Indie Games Competition、Mobile Games Forum(インディーズ部門)など、数々の賞を受賞

イメージを形にする

このプロジェクトを開始した当初、Denman 氏はまだ着想を得ただけの状態でした。 シャボン玉のゲームを作りたいとは考えていたものの、どのようなゲームになるかは見当が付いていませんでした。 Unity エディターは拡張性が高く、モジュールデザインを採用していたので、色々なことを自由に試すことができました。

「何が楽しくて、何が楽しくないのかを知るために、Unity の中にエディターを作ることにしました。ゲームをすぐにプレイしてテストできるようにしたり、前の状態に戻したり、物をあちこちに移動させたり、前後に動かしたりするためです。 Unity エディターは柔軟性が高いので、ゲームデザインの改善に本当に役に立ちました」

「Unity のおかげで、以前に開発したときのような悩みからは開放されました」と Denman 氏。 「今ではもっと面白そうな、まだ試したことのないテクノロジーに集中できます。 泡の物理演算はその好例です」

絶大な投資効果

In addition to adding his own tools, Denman also used many pre-existing tools from the Unity Asset Store, and he says that they offered an incredible ROI.

“Sometimes you don’t comprehend how much work and polish it takes to complete a project and compete in a market that’s so competitive. But when you throw your game in front of players, you realize, oh my gosh, I need to add an effect here. I need to improve the look of a feature there.

“So being able to go to the Asset Store and find a tool there–probably for 100 times less than you would spend making it yourself–is just phenomenally awesome. It saves tons of time for sure,” Denman says.

What’s more, he often experiences that the assets he initially acquires for one specific reason hold hidden benefits elsewhere. TextMesh Pro was a good example of this:

“I grabbed TextMesh Pro to add icons in my text and‒not only did it allow me to do that quickly and efficiently and for very little money‒but it had a tremendous number of other very cool features I could take advantage of that I never expected.”

あらゆる人に「泡で遊ぶ体験」を

こうした試行錯誤の結果生まれたのが、160 以上ものステージが用意された大ヒットパズルゲーム『Tiny Bubbles』です。このゲームでは、現実世界の泡の挙動(圧力による変化、表面張力、相互作用、連鎖反応など)が見事に表現されています。

「泡というのは、人々のごく身近にあるものです。そこには、年齢や性別、文化的背景に関係なく、あらゆる人を惹きつける何かがあるのでしょう。私は、このゲームをできるだけ多くの人に遊んでもらえるようにしたいと考えました。色の区別が難しい人や、デバイスの操作にアイトラッカーを使っている人たちにも、泡で遊ぶ楽しさを味わってもらいたかったんです。しかし、そのためには、ゲームをさまざまな言語やプラットフォームに対応させる必要がありました。それこそが、Unity を選んだ最大の理由の 1 つと言えます」(Denman 氏)。

Denman 氏は多言語対応のために、アセットストアで公開されている I2 Localization プラグインを使用しました。このプラグインを使うと、テキストを Google スプレッドシートに集約することができるのです。そのシートを翻訳者と共有し、翻訳してもらうという流れです。翻訳したテキストは、承認が終わった時点で Unity に自動で取り込まれます。

「笑ってしまうほど簡単で、大変驚きました。本来なら、同じゲームを作るのにもう数か月余分にかかってもおかしくなかったでしょう。それがわずか 1 日で、インテグレーションやチュートリアルも含め、ローカライズ作業の 3 分の 1 まで終わってしまったんです。これは相当な時間の節約になると思います」(Denman 氏)。

リアルタイム分析と収益化のためのツール

プロトタイプが出来上がると、Denman 氏は実験に対するプレイヤーの反応や、ゲーム内での実際の行動を把握したいと思うようになりました。そこで彼は、Unity Analytics を導入し、ゲームを友人に配布し始めました。

その後、Unity Analytics のダッシュボードを見ると、クリアまでの挑戦回数が多いステージ、プレイヤーがゲームをやめてしまうステージなど、さまざまな情報が明らかになりました。Denman 氏は、ビジネス上の重要な意思決定を正確なデータに基づいて行えるようにしたいと考え、ゲームをベータ版に移行する際にも、引き続き Unity Analytics を使用することにしました。

有料でもプレイしてもらえるのか?

Unity Analytics について Denman 氏が特に期待しているのは、ビジネスモデル、特に収益化に関する意思決定のためのデータです。

「現在の厳しい市場環境においては、プラットフォームや市場の違いに応じて、最適なビジネスモデルを選択することが重要です。プレイヤーの特性は市場ごとに異なります。ですから、プレイヤーのグループごとにリテンションを検証して、最も多くの収益をもたらすグループはどのような人たちなのかを、しっかりと把握する必要があるんです。

「リテンションが低いようなら、有償にした方がよいかもしれませんし、リテンションが高ければ、無料でプレイできるようにした方が良いでしょう。Unity Analytics を使えば、リテンションを確認しながら、データに基づいて意思決定を下すことができます。」

無料プレイを選ぶプレイヤーに対応するために、Denman 氏が Unity Analytics に加えて活用したのが、Unity Ads と Unity IAP です。実は、どのプレイヤーの体験も損なわない形で広告を埋め込めるように、ゲームのデザインをあらかじめ工夫していたのです。

「私が使ったのは、広告を見た報酬としてヒントやパワーアップ、追加ステージなどを提供する手法です。たとえば、プレイヤーがゲームに行き詰まったときに、広告を 1 つ閲覧すれば、ヒントなどのゲーム内報酬を得られるようにしたんです。こうすれば、より幅広いプレイヤー層にゲームを楽しんでもらうことができます。カジュアルプレイヤーはヒントを利用して難しいステージをクリアできるようになりますし、本格的なプレイヤーには、自力で解法を導き出すという選択肢も提供できます。」

Denman 氏は、Unity を余すところなく活用しました。まず、ゲームの最終的なビジョンが固まっていない段階では、モジュール式の柔軟な設計特性が、アイデアを具体化するうえで役立ちました。その後、Unity アセットストアとカスタムツールを併用することで、ゲームそのものの核となる部分に集中して取り組むことができました。最後に、Unity IAP、Unity Ads、Unity Analytics を導入してゲームの展開方法を調整したことで、収益を促進することができました。

Stu Denman, Founder and Lead Programmer at Pine Street Codeworks

「Unity はモジュール式の設計になっているので、さまざまな要素をしっかりと分離して管理できます。ゲームの一部に安定性の問題が発生したとしても、残りの部分には一切影響がありません。そのため、開発期間全体にわたり、過去に使ってきた他のエンジンよりもずっとゲームが安定しました。」

Stu Denman, Founder and Lead Programmer at Pine Street Codeworks

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