新しいゲームのアイデアをすぐさま形に

Gameloft のお気に入りは、迅速なイテレーションを可能にする Unity のフレキシブルなツールです。

Gameloft:Unity 開発者のケーススタディ

芸術的なひらめきを具現化し、すばらしいゲームのアイデアをすばやく製品化するにはどうすればよいのでしょうか?5 人のチームで活動しながら、Gameloft Montreal でゲームプレイディレクターを務めている Renaud Forestié 氏は、さまざまなアイデアを聞きながら、関係者たちが実際にプレイできる評価版をすばやく作成するようにしています。このチームでは、Unity を使って複数のアイデアを具現化し、その中で最も有望なものを選んで、開発、パブリッシング、マーケティングのフェーズへと進めています。

Ubisoft の共同創業者の 1 人によって 1999 年に設立された Gameloft は、Java や Brew 搭載の携帯電話をターゲットにしたゲーム開発から始まり、現在では 1 日 250 万ダウンロードを誇る大手モバイルゲーム会社へと成長しています。同社は世界各国にスタジオを構えており、数百タイトルにもおよぶ同社のヒット作の中には、『Asphalt』、『Modern Combat』、そしてメガ級ヒット作の『Disney Magic Kingdoms』などが含まれます。

  • プロジェクト

    ゲームのアイデアを何種類もの動く形にビルドして、評価

  • 目標

    新しいゲームの開発をはぐくむための環境を作る

  • プラットフォーム

    iOS と Android

  • プロジェクトのスタッフ

    カナダ、モントリオールの 6 人の Unity 開発者

  • 企業情報

    従業員 6000 人以上

    本社:フランス、パリ

     

フレキシブルなツールにより初日からプレイ可能なゲームを実現

映画の場合と同じように、ゲームの開発もアイデアのアピールから始まります。チームやプロデューサーはゲームデザイナー(Gameloft では「ビジョンホルダー」と呼ばれる)からいくつものアイデアを聞き、複数のプロジェクトを決定し、予算を割り当てます。Forestié によると、「プロジェクトごとに 1 ~ 3 週間の期間を割り当て、複数のイテレーションを作ります」通常、初日の終わりにはプレイ可能なものができあがり、最初の週の終わりにはテストできるものができあがります。

「私たちはかなり本格的なビルドを作ります。つまり、しっかりと楽しめ、ユーザーリテンションやユーザーがどのくらいゲームを起動させるかなどの客観的なデータを得られるようなものです。ゲームがプレイヤーの手に渡るまでの時間はかなり短いものです」昨年、彼のチームはそれぞれ 1 ~ 5 のビルドを持つプロジェクトを 30 以上完成させました。そのうち 12 のプロジェクトが実際に製作されました。Forestié によると、「このスピードで制作を続けるためには Unity が不可欠で、そのためすべてのプロジェクトで Unity を使用しています」

成果:

  • 初期ビルドの段階でプレイテストに耐えられるほど高機能
  • 技術的に実現可能かどうかがすぐにわかる
  • 役に立たないアイデアをすぐに選別できるツールセットと環境
  • テストおよびリリースが可能なゲームコンセプトの維持
ゲームの迅速なデザインとイテレーション

プレイヤーの体験を最優先

Forestié 氏のキャリアと個性は、高い機動性が求められる Gameloft での彼の役割にぴったりなものと言えます。大学卒業後、彼はウェブプログラマーやアートディレクターとして働き、Flash のスキルを磨いた後、複数のスタートアップ企業で UI/UX に携わりました。しかし、彼にはもっとやりたいことがあったのです。「スタートアップでアプリを作る仕事はしっくり来ませんでした。頭に浮かんだアイデアをすぐに、そっくりそのまま形にするような仕事がしたかったんです」彼はネットで Unity のオンラインチュートリアルを見つけ、独学で Unity の知識を習得し、コード作成、アート、そして UI/UX のスキルをゲームに生かす道を開きました。

「子供の頃はレゴやビデオゲームで遊ぶのが好きで、絵もたくさん描いていました。それらの遊びは、まさに今の仕事そのものです。ゲームの基本要素をデザインし、Unity で「建築ブロック」を組み立てながらゲームを作るわけですからね。私にとっては理想の仕事です」彼の UX の経験は、Gameloft の運営方針に大きな影響を与えています。それはプレイヤー体験を最優先するという方針です。このことは、彼のチームが本格的な世界観の演出に注力している理由の 1 つとなっています。「私たちはプレイヤー最優先でゲームを作っています。プレイヤー体験を向上させてこそ、リテンションやプレイヤー数の向上も期待できるからです。」

彼は、すべてのゲームがすぐにイテレーションへと進むわけではないことを認めています。たいていのプロジェクトは最初の評価版でボツになってしまうのです。それは残念なことにも思えますが、本当に有望なものこそが、その先へと進めるのです。Forestié 氏は次のように付け加えています。「試行錯誤の過程で思わぬ発見をすることもあります。予想外のところに良いヒントが見つかったりするのは、とても楽しいですね。」

地下鉄でゲリラテスト

Forestié が最初に Gameloft にやって来たとき、彼の目標はアイデアをすばやくテストできる形にすることでした。「そのためには開発をスピーディーに進めるためのツールが必要で、その点、Unity は最高 です」と彼は言います。「とはいえ、ゲームのコンセプトを魅力的なものにすることも大事です。したがって、それは単にプログラマーが作るアートのような、内輪でしか使えない普通のプロトタイプではだめで、ある程度プレイしがいのあるものが必要です」

社内でのレビューに加えて、Forestié は文字通りゲームを通りに持ち出します。「ゲリラ的なテストをするんです。それを持って走って行かないようにと念じながら、電話を地下鉄の乗客に渡します」と彼は冗談交じりに言います。「そして彼らがプレイをしながら、どんな表情をするのかを観察するんです」それは正式なプレイテストとはまったくの別物ですが、プレイヤーの第一印象を知る貴重な機会になります。そのようなすばやいフィードバックと彼らの豊富な経験と客観的な判断力が開発を前進させます。万が一そうならなくても、「まだ何か足りない、もう一度最初からやり直そう、って言うだけです」

「プレイの手ごたえ」を瞬時に追加

チームは、Unity のネイティブな API をベースにした独自のフィードバックライブラリを持っています。チェックボックスにチェックを入れるだけでパーティクルや画面の揺れ、色収差、フリーズフレーム、タイムラインの修正などを実行することができ、強い「プレイの手ごたえ」を簡単に作り出すことができます。Forestié の定義によると、「プレイの手ごたえ」とは、ゲームがプレイヤーに何かが起こったことを伝えるためのビジュアルや音声によるフィードバックです。「たとえば、銃の引き金を引くボタンを押したとしましょう。銃は弾を発射し、銃口が閃光を発し、大きな音がした後、画面が揺れます。そのすべてを目で見て、感じることによって、 私は銃を撃ったことの手ごたえを感じます」Forestié はこのような特別なエフェクトがプレイヤーにやりがいを感じさせ、ゲームをおもしろくするのだと確信しています。

彼はまた、ゲームジャムがテストの場として最適であり、ほとんどのゲームジャムで Unity が広く使われていることを指摘します。「ゲームジャムでのお気に入りは、Let’s Play on YouTube です。そこでは多くの人たちと知り合い、いっしょにゲームを楽しみ、『そうだ、このドアを通り抜けることにしよう。このパワーアップを選ぼう』というような発見をします。それは私にとってとても楽しいひと時です」

奥深いツールボックスと頼りになる仲間

Gameloft にとって、Unity アセットストアは重要なリソースです。ストアには、キャラクター、環境、音楽、広告のためのアドオン、ローカライゼーションのためのツールなど、すべてがそろっています。「既成のものが使いたい場合は、アセットストアに行けばたいてい見つかりますし、無料で入手できることもあります」(Forestié 氏)。たとえば、無料で提供されている Cinemachine は、ゲーム内カメラに使用できる手続き型の統合システムです。定義したターゲットをシネマティックに追跡し、構図を調整することができます。「Cinemachine は非常によく使うアセットで、とても気にっています。ズームや画面の揺れなど、カメラ関係の演出にとても役に立ちます。Cinemachine でネイティブに生成される「ノイズ」は驚くほど効果的です」ProBuilder は、Gameloft のチームが 3D モデリングの際に使用する主要なアセットとなっています。当初はアセットストアで提供されていましたが、Unity 2018 でビルトイン機能になりました。

もう 1 つ、Gameloft にとっての重要なリソースの 1 つに、Unity の開発者コミュニティがあります。「何か問題にぶつかっても、世界のどこかにはそれをすでに解決した人がいるはずなので、すぐに Google 検索をするようにしています。」Forestié 氏は Twitter での情報収集にも多くの時間を割いています。「Unity についてのすばらしいヒントや裏技がユーザー間で情報交換されているので、ネットは有力な情報源の 1 つとなっています」Forestié 氏は他の開発者に対し、Unity ウェブサイトの「学習」セクションを見るよう薦めることが多く、彼自身も新しい機能が出るたびにチュートリアルをチェックしています。「私の知識の多くは、そこで学んだものです」と彼は言っています。

ほぼすべてのプラットフォームにすばやくパブリッシュでき、革新的で多種多様な機能を備え、チームの共同作業もスムーズに行える Unity は、Forestié 氏と Gameloft のゲームデザイナーたちにとって、今や主力の開発ツールとなっています。彼のチームが Unity を使って生産性を高めていることは、一般にも知られ始めています。噂では、Gameloft が来年、同社初のフルプロダクションによる Unity ゲームを制作すると言われています。

迅速なゲームデザインのためのベストプラクティス

Unite LA において Renaud Forestié は、Gameloft のプロタイプ作成チームのチームワークについて語り、詰めかけた聴衆を楽しませました。彼のプレゼンテーションをご覧ください。

このケーススタディは元は 2019 年に公開されたものです

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